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NISA恒久化へ「5度目の正直」なるか? 使い勝手改善して「貯蓄から投資へ」の流れに弾み【馬医金満のマネー通信】

   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   金融庁は、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」を具体化する政策としてNISA(少額投資非課税制度)の拡充に乗り出します。NISAは株式や投資信託などへの投資によって得られた利益や配当金が非課税となる制度で、金融庁は制度の抜本的な刷新を検討し、2023年度の税制改正要望では制度の恒久化や非課税限度額の拡大などを求めています。

   NISA制度の恒久化は、これまで4度も見送られてきましたが、5度目の今回はどうなるのでしょう。NISA制度の改正を見てみました。

  • NISA制度が拡充される!?(写真はイメージ)
    NISA制度が拡充される!?(写真はイメージ)
  • NISA制度が拡充される!?(写真はイメージ)

「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる

   現行のNISAは3種類あります。一般的な「NISA」は、株式や投資信託など年間120万円までの投資分が5年間非課税になります。今、若い人に人気なのは「つみたてNISA」で、これは年間40万円までの投資分が20年間非課税になります。それに、年間80万円分が5年間非課税になる未成年向けの「ジュニアNISA」(ジュニアNISAは23年で終了)があります。

   いずれも投資可能な期間が限られる時限措置で、投資を始めるタイミングによって非課税の期間も異なります。一般のNISAやジュニアNISAの場合、非課税となる期限を迎えると、翌年の投資枠に資産を移す手続きが発生するなど、使い勝手の悪さが課題でした。

   そのため、金融庁は制度の恒久化や非課税保有期間の無期限化を要望。こうした問題の解消を目指そうとしていたわけです。

   もう一つ、NISA制度見直しの背景には、日本の個人が持つ金融資産が預金に偏っていることがあります。日本では、家計の金融資産が2000兆円を突破(2021年12月末時点で過去最高の2023兆円。日本銀行の資金循環統計より)していますが、このうち預貯金が半分以上を占めています。

   その結果、直近20年間でアメリカでは金融資産が3.4倍、イギリスでは2.3倍になった一方で、日本では1.4倍にとどまっています。

   岸田文雄首相は、「眠り続けている預貯金をたたき起こし、市場を活性化するための仕事をしてもらいます」などと発言。NISAの抜本的拡充によって、「貯蓄から投資へ」の流れをつくると宣言しました。

時限措置を設けたままだと長期投資しづらい

   今回のNISA制度の見直しで、最大の焦点は制度の「恒久化」が実現するかどうかという点でしょう。

   現行のNISA制度は、最も長期間投資が可能な「つみたてNISA」でも期限は20年後の「2042年まで」です。時限措置を設けたままだと、いずれ制度が終わることが意識され、長期的な投資がしにくくなると指摘されていました。

   これを恒久化すれば、資産形成に重要な「長期」「分散」の投資がしやすくなるといわれています。

   とはいえ、恒久化したあとにどうなるのか――。今後もウォッチしていきたいと思います。

   では、また!(馬医金満)