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現在の年収に不満67%...年収アップのためにしてること、「転職」以上に多かったものは?

   春、春闘のシーズンだ。とりわけ大手各社では、賃上げと一時金の組合からの要求に対して、会社側から満額回答が出るかどうかは気がかり。このところ、一部の企業では物価上昇に合わせたベースアップも進んでいる。

   しかしながら、スタジオテイル(東京都新宿区)の行った「現在の年収に満足してる?年収アップへの取り組みは?」というアンケート調査では、参加者の67%が現在の年収に満足しておらず、年収アップの取り組みをしているという結果が出た。

   30代では年収アップに取り組んでいる人は76%で、40代では73%と高水準をマークし、具体的にしていることではWワーク、資格取得、物販、ポイ活、クラウドソーシング...など、より多くの収入を得るための多彩な具体例が挙がっている。

  • 実際に年収がアップした人の要因とは…?(画像はイメージです)
    実際に年収がアップした人の要因とは…?(画像はイメージです)
  • 実際に年収がアップした人の要因とは…?(画像はイメージです)

年収アップのためにしていること...1位「複業」、2位「資格の取得」、3位「スキルアップ」

   スタジオテイルでは、2023年2月15日から2月25日にかけて、会社に勤務している20代から50代までの500人を対象に、「現在の年収への満足度と年収アップへの取り組みについてアンケート調査」を行った。

   一つ目の質問は、ずばり、「現在の年収に満足していますか?」。現在の年収に「満足している」「少し満足している」と答えた人は、全体の「33%」に留まり、「少し不満」と「不満」を合わせると「67%」を占めた。

   特に「満足している」と回答した人は全体の中でも「7%」となり、少数派という結果が出ていて、多くのビジネスパーソンは現状の給与に満足していないようだ。

   次に、同じアンケート結果について、年代別と年収別の分布を詳しくみてみよう。

図表1(スタジオテイルの作成)
図表1(スタジオテイルの作成)

   年代別にみると、現在の年収に「満足している」「少し満足している」の割合が40代以上では多いことがわかる。(図表1)

   反対に、20代と30代の若手ビジネスパーソンは「少し不満」「不満」と答えた割合が高く、20代に至っては「72%」の人が現状の年収に不満を感じているようだ。

   終身雇用制度が実質的な終焉を迎え、成果主義的な評価手法が入ってきているとはいえ、年齢とともに年収が上がっていく企業は少なくないため、全体的な傾向として若年層ほど給与水準に不満を抱いているのかもしれない。

図表2(スタジオテイルの作成)
図表2(スタジオテイルの作成)

   世帯年収別の満足度では、「満足している」と答えた割合が最も高かったのは年収1000万円超の世帯で「35%」となった。反対に、年収200万円未満の世帯で「満足している」と回答した人は「0%」という結果が確認できる。(図表2)

   一方で、年収への不満を抱く人の割合は年収が上がるにつれてほぼ低くなっていくものの、500~800万円の年収帯では「少し不満」「不満」を合わせた割合にほとんど差が見られないことがわかる。

   続いて、「年収アップのための取り組みをしていますか」の質問に対しては、全体の74%が「取り組んでいる」と答え、「取り組んでいない」と答えた割合は「26%」となった。

図表3(スタジオテイルの作成)
図表3(スタジオテイルの作成)

   さらに、世代別、年収別で細かく見ていくと、20代と30代の年収アップに取り組んでいる割合は同率で「76%」と高く、若い年代ほど積極的な傾向がみられる。(図表3)

図表4(スタジオテイルの作成)
図表4(スタジオテイルの作成)

   年収別では、年収アップに積極的なのは400万円から500万円の層、そして800万円から1000万円の層が目立つかたちではあるが、どの世帯でも6割を超える人が年収アップに取り組んでいる。現状の年収にかかわらず年収を上げることへの関心は高いと言えるだろう。(図表4)

図表5(スタジオテイルの作成)
図表5(スタジオテイルの作成)

   では、より具体的に「年収アップのために具体的に取り組んでいることは何ですか」の調査結果をみると、最も多かったのは「複業」で「53%」となった。(図表5)

   次いで「資格の取得」(38%)、「スキルアップ」(31%)、「昇進・昇格への働きかけ」(18%)、「個人成績を伸ばす」(15%)などとなり、特徴的なのが昇進や、個人の成績の改善、上司との関係構築など、現在の職場で評価を高める試みをしている人が少なくないことだ。

   なお、今回の調査では「資産運用」は「4%」に留まり、年収アップを実現するための取り組みとして関心が薄かった。

   「年収アップのために具体的な取り組みをしている」と答えた人のコメントを紹介しよう。

「本業での収入アップが見込めないため、副業で物販を始めました」(30代/男性/クリエイティブ職)
「旦那の休みが平日で自身も旦那の休みに合わせて働いている関係上、勤務時間がどうしても少なくなってしまっているため、在宅でWワークをして家計の足しにしています」(20代/女性/福祉その他)
「資格を複数取ってより仕事の幅を広げるように意識しています。今は今ある資格よりもさらに上位の資格や同列の資格を取ることに注力しています」(40代/男性/サービス業・専門職)

   このような意見が挙がっている。このうち、複業に取り組んでいると回答した人の具体的な仕事内容としては

ポイ活
クラウドソーシング
ブログ運営
Webデザイン

   などが見られるという。

過去に年収アップした人...要因1位は「転職」

図表6(スタジオテイルの作成)
図表6(スタジオテイルの作成)

   続いての質問では「過去に年収アップをした際、年収アップの要因は何でしたか?」と聞いた。その結果は、1位が「転職」(16%)。次いで、「相応の成果を出したため」(15%)、「上司または顧客から信頼を獲得したため」(12%)、「資格取得による」(12%)の順番になり、「複業」は「7%」となった。(図表6)

   この結果から考察をした同社は

「必ずしも大手企業や有名企業に転職することが年収アップに繋がるとも言い切れないようです。
大手企業から中小企業に転職して年収アップが実現した人や、中小企業からより小規模の会社へ転職したことで評価が高まったという意見も見られます。
とくに30代以降のミドル層は、前職で体得したスキルや業務経験、実績などを評価された結果、好条件で転職先が決まったケースが少なからずあるようです」
「今回の調査を通じて、『年収を上げるために取り組んでいること』と『過去に年収が上がった要因』が必ずしも一致していないという結果が得られました。
自分なりにテーマを持って仕事に取り組むことは重要ですが、年収アップという観点で見た場合、キャリアアップを見据えた転職も有力な選択肢の1つとなることはほぼ間違いなさそうです」

   とコメントしている。

   なお、調査は2023年2月15日から2月25日まで実施し、会社に勤務している20代から50代まで400人(男性246人/女性152人/その他2人)を対象にアンケートを行ったもの。