IT・教育のプロが数独をすすめる理由「考える力を養い学習の土台づくりになる」

   数独は論理的な思考力や分析力、判断力を身に着けるのに役立ち、学力を伸ばすうえでの「土台づくり」になります――。そう話すのは、ITと教育分野のコンサルタントとして活躍する櫻井俊輔さんです。

櫻井俊輔さん
櫻井俊輔さん

   櫻井さんは、元システムエンジニアでIT系の専門学校で教員を務めた経験もあり、長年IT業界に携わってきました。その中で、現代の日本人にはもっと論理的に考えて分析する力が必要なのではないかと感じてきたそうです。

「まず、学生たちに自分で考えるクセがついておらず、先生から示される答えを待つというケースが目立ちました。企業コンサルタントとして新人研修などに関わる中では、きちんと筋道を立てて考えることが苦手な人が多く、自分の力で論理的に考えて答えを導き出す力を養うことの大切さを実感しました」

   今後、AIやロボット技術がさらに発展すれば単純な作業はもっぱらコンピューター任せになり、人間はこれまで以上に自分で考え、新しいものを生み出していく力が重要になってくると櫻井さん。そのためには、論理的な思考力や分析力を養うことが大切ですが、現状ではそのための教育がなされていないと言います。

「2020年から小学校にプログラミング教育が導入される予定ですが、これは子どもたちに論理的に考えて判断したり、分析したりする力を養ってほしいという目的があるんです」

スポーツに例えるなら筋トレのようなもの

   数独は、空きのマス目に1から9までの数字をタテ列、ヨコ列、3×3のブロックの中で重複させないで入れるという、理詰めで考えられるゲームです。櫻井さんによると、問題を見た時にどこに何の数字が入っているのか状況を見極め、決められたルールを当てはめて分析し、判断するという思考はプログラミングと同じなのだとか。

   また、数独は物事を順序立てて考える訓練になるとも。例えば、子どもなら1日10分でも家庭で数独に取り組むことで、自分で考える力が養われ、それが学習のベース作りに役立てられると言います。

「数独に取り組むのは、スポーツに例えるなら筋トレのようなもので、自分で考える基礎的な力がつけば勉強も頭に入ってきやすくなるという考えです。子どもに一方的に押し付けるのではなく、親も一緒になって数独を楽しめるようにしたいですね。私には子どもが2人いますが、まず親の方が一生けんめいになって取り組むとその姿を見た子どもは自然と興味を持ってくれますよ」

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   櫻井さんは専門学校で教員をしていたとき、学生が授業に飽きてきたなと思うと、数独などパズルを解く遊びを取り入れたりしていたそうです。

「学生たちは問題を解き始めると集中して目が覚めます。集中すると疲れますが、脳を働かせることによって授業の内容が頭に入りやすくなり、学習効果は高くなります。また、最初は解けなくても少しずつ習熟することで『やっと解けた』という成功体験が得られ、自信にもつながります」

   櫻井さんは、学生たちが数独やパズルに取り組む姿を見て、問題を論理的に考えられるかだけでなく、課題に対して粘り強く向き合える性格かどうかも見えてきたと言います。

「人間、ゲームをすると思わず素が出てしまうもの。もしかしたら企業でも面接の後のレクリエーションなどに数独を取り入れたりするのも面白いかもしれませんね」

   

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櫻井俊輔(さくらい・しゅんすけ)さん
株式会社次世代人材アカデミー代表取締役。1998年法政大学工学部卒業。小学校6年生のときに出合ったパソコンに感動し、ITの道を目指すことを決意。大学卒業後にシステムエンジニアとして就職。IT業界で活躍するも「人を育てる環境」の重要性を感じ、2002年にIT系の専門学校の教員に転向。その後、IT・教育に携わるコンサルタントとして活動。17年に100年先の理想の社会から逆算した人材育成をめざす「次世代人材アカデミー」を設立。企業内で人を育てられる人材を増やすための幹部育成や、働く女性の支援、幼児教育事業などを行なっている。近年、注力しているのは、企業内の幹部育成研修と子ども向けプログラミング教室「オンリーワンプログラミングアカデミー」。子ども向けの授業では自分で考える力や論理力を養うためのオリジナルのテキストを用いている。