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グーグルやIBMも参加 「社食」で始める社会貢献

   社員食堂からの「社会貢献」が広がっている。日本航空や三井住友海上火災保険、日立製作所など、社員食堂をもつ企業が社会貢献活動の一環として、社員にヘルシーな食事を摂ってもらうとともに、その食事代のうちの10~20円を飢餓に苦しむ開発途上国の学校給食の費用に充てる。毎日使う「社食」を通して「肥満」と「飢餓」を減らしていこうという「TABLE FOR TWO(テーブル・フォー・ツー)」の取り組みで、2008年7月7日からはグーグルと経済産業省が新たに加わった。

ヘルシーメニューを食べ、代金の一部を寄付に回す

日本航空の社員食堂も「TABLE FOR TWO」に取り組んだ
日本航空の社員食堂も「TABLE FOR TWO」に取り組んだ

   「豆乳サラダうどん」や「ノンフライ麻婆なす」「ブロッコリーのカニあんかけ」・・・社食に並ぶ、健康のためにひと工夫されたメニューが、社員のメタボ解消だけではなく、開発途上国の子どもたちの学校給食に役立つ。そんな「一石二鳥」の社会貢献活動、「TABLE FOR TWO」に参加する企業が増えている。

   「TABLE FOR TWO」は、開発途上国の飢餓と先進国の肥満や生活習慣病に同時に取り組む、日本発の社会貢献運動。06年にカナダで開かれた世界経済フォーラムをきっかけに、「貧困」と「肥満」を話し合う会議の中で生まれた。07年2月の伊藤忠商事を皮切りに、日本航空や日本IBMといった大手企業が試行的に取り組みはじめた。

   これに大妻女子大学や横浜市などが加わるなど、参加した企業・団体の「口コミ」でジワジワ広がっていった。2008年5月には野村総合研究所や外務省など7社が参加。6月には三井住友海上やアサヒビール、リクルートなど9社がスタートした。7月3日現在で45社・団体が参加している。

   プログラムは6か月の実施期間に、健康によい低カロリーの「ヘルシーメニュー」を社食に用意し、その代金から10~20円を寄付する仕組み。07年11月に事務局を設置して積極的に呼びかけたところ、賛同企業が増えてきた。この6月から取り組みを開始したホテルオークラ神戸では、社員食堂のほかレストランのメニューにも取り入れ、一般の人も参加できるようにした。

日本の「社食」から世界へ

「TABLE FOR TWO」は日本発の社会貢献運動だ
「TABLE FOR TWO」は日本発の社会貢献運動だ

   日本航空(JAL)は07年6月11日から20日まで、東京・品川の本社や、羽田や成田の空港にある整備工場や訓練所の社員食堂など11か所で、サラダの売上げ1食につき10円を寄付に回すキャンペーンを実施したところ、10日間で7万4000円が集まった。会社も同額を拠出。また社員の募金などを合わせて約20万円をTABLE FOR TWO事務局に寄付した。

   2年目となる08年も6月9日からの10日間で実施(寄付金は現在集計中)。JAL広報部は

「10日間という期間ですが、社員の声が少しずつ大きくなっていって、運動が定着することを期待しています」

と話す。

   TABLE FOR TWO事務局によると、08年4月に第1回目として、ウガンダやルワンダ、マラウィへ約15万食分を支援した。海外展開にも着手しており、この春には米国・ニューヨークに法人を設立。現在、企業の導入準備をすすめているところだ。

   海外で「社食」というと、なじみが薄いように思うが、社食のある企業は案外多い。日本企業の工場のほか、グーグル本社やヤフー、アップルにオラクルといったIT企業にもあって、事務局の目はニューヨークばかりでなく、すでに全米に向いている。

   TABLE FOR TWO事務局は、

「この運動を日本発の社会貢献活動として、国内外にもっと広めていきたい。社員食堂だけでなく、一般の人が参加できる仕組みもつくっていきたい」

と語っている。