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コスプレショップみたい? 渋谷にできた「自衛隊」PR施設

   「若者の街」渋谷にこの夏、「自衛館」という名前のちょっと変わった施設がオープンした。防衛省がPRのために設置した「自衛隊の広報施設」だという。いったい何が展示されているのか、J-CASTモノウォッチの記者が訪ねてみた。

ウィンドウには「自衛隊の制服」を着たマネキン

渋谷駅から歩いてすぐ。ポップな字体がかわいらしい
渋谷駅から歩いてすぐ。ポップな字体がかわいらしい

自衛隊の手袋。双眼鏡の倍率は8倍だ
自衛隊の手袋。双眼鏡の倍率は8倍だ

   渋谷駅東口から徒歩3分ほど、宮益坂を渋谷郵便局の方へ登って行くと、ウィンドウに自衛隊の制服を着たマネキンが飾ってある少し変わった一角がある。ウィンドウ上部には、かわいらしい桜のロゴマークと並び、ポップな書体で「自衛館」と描かれている。

   周囲から明らかに浮いているこの施設、一見制服オタク向けのコスプレショップかと思ってしまうが、実は自衛隊の広報施設なのだ。

   施設内は、白を基調としたすっきりとした内装だ。ウォーターサーバーが設置されているせいか、少し病院の待合室のような雰囲気だ。約15坪のワンフロアはPR施設としては少し狭いように感じた。

   室内のガラスケースには、戦闘機や戦車など自衛隊が所有する装備のミニチュアや、実際に自衛隊で使用されている手袋や双眼鏡が展示されていた。大型ディスプレイでは常時自衛隊の広報DVDが流れており、30代と見られる男性が、

「そこに飾ってある『精鋭』っていうDVDが観たいのですが」

と女性職員にリクエストしていた。

制服を「試着」できるサービスも

1番人気の海上自衛隊の白い制服
1番人気の海上自衛隊の白い制服

   正面ウィンドウに自衛隊の制服を着たマネキンを飾っている自衛館。施設内でも「制服」が目を惹く。陸海空男女のそれぞれの制服が揃えられており、子ども用まである。凄い熱の入れようだ。

   ここに来れば、自衛隊で実際に使用されている制服を試着できる。「自衛隊で働くことをより身近に感じられれば」との趣旨だ。一番人気は海上自衛隊の白い制服だという。試着すると施設の女性係員が写真を撮ってその場で現像してくれる。1枚までなら無料だ。

   この「自衛館」は、運営を民間会社に委託するという異例の形態をとっている。自衛隊施設の外に広報施設を設けるのも初の試みで、年間の維持費は約4500万円。中々の気合の入れようだ。防衛省の担当者がその狙いを話す。

「自衛隊の志願者は、バブル崩壊をピークに減少を続けています。平成14年度と比較しても19年度では半減しています。この施設はそのような状況を踏まえて、若者を対象に自衛隊を職業として認知してもらうために、若者が多く集まる渋谷に自衛隊募集の広報スペースとして設置しました」

「自衛隊にちょっとでも振り向いてもらえたら」

自衛隊のほか、防衛大の帽子も揃っている
自衛隊のほか、防衛大の帽子も揃っている

   今後も自衛館を使って様々な広報活動を展開していきたいと考えている。来場者の数は2008年4月のプレオープン時には月500人程度だったが、7月に本格オープンしてメディアにも露出するようになり、月1500人程度にまでなった。子どもの就職先として自衛隊を考えている親の世代が多いようで、適齢者は全体の2割ほどだという。

   ちなみに、記者が訪れた平日午後の来場者数は2時間で6、7人ほど。学生が友達連れで来たり、40代の男性が1人で来場したりして制服の試着をしていた。

「全然自衛隊のことを知らない人が来て、ちょっとでも振り向いてもらえたらと思っています。自衛隊は体力がないと入れないと思われていますが、普通の若者が入隊し、基礎からしっかりと教育訓練を受けて自衛官になっています。若者が自分の将来を考えるにあたって、自衛隊を職業の選択肢の一つとして考えるきっかけのひとつとなってくれればありがたいと思います。」