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「寄席デート」が増えている 「落語」にハマるヤング層

   TBS系ドラマ『タイガー&ドラゴン』やNHKの連続ドラマ『ちりとてちん』の影響もあってか、落語人気が上昇中だ。このところ、創刊されたばかりの落語マガジンが予想以上に売れ、落語CDの販売状況も順調だという。こうした落語関連商品は若い世代が購入するケースも多く、寄席に足を運ぶ人も増えているそう。果たして今回の落語ブーム、本物なのか?

落語CD、若い人が購入

小学館「落語 昭和の名人 決定版」。1年間で全26巻をラインナップ予定
小学館「落語 昭和の名人 決定版」。1年間で全26巻をラインナップ予定

   小学館が2009年1月6日から隔週で発売中のCD付きマガジン「落語 昭和の名人 決定版」。第1巻では「三代目古今亭志ん朝」の特集を組むなどして力を入れたのが奏功したのか、版を重ね30万部を世に出した。「五代目古今亭志ん生」を扱った第2巻が15万部、第3巻「五代目柳家小さん」も12万部と、いずれも編集部の予想を超えているそうだ。

   マガジンでは落語家の人となりを取り上げるとともに、CDの「鑑賞ガイド」を掲載した。噺(はなし)のあらすじを紹介し、聴きどころを記載した点が特徴で、同誌編集部の小坂真吾さんは、

「収録場所や、その日の雰囲気などを紹介したかった。噺というものは場所や日にち、お客さんの層でも変わるものだからです」

と話している。

   メーンとなる購買層は60代だが、20~30代が買うケースも多いようで「シニア層だけが対象ならば、ここまで部数は伸びなかったはず」(小坂さん)という。

   また、あるCD販売店でも「ここ1~2年、落語CDの売り上げは比較的いい」とし、次のように話している。

「購入者の世代は幅広く、従来の落語ファンに加え若い人がコーナーに立ち寄ることが増えたと実感している。寄席を観に行ったことがきっかけとなって、CDを購入していくみたいです」

   そうした中、東京・神保町には「らくごカフェ」が09年2月3日にオープンし、話題になった。落語関連本を執筆するフリーライターだった青木伸広さんが「落語ファンの交流の場になれば」と開店したもので、店内には机や椅子を配置し、落語関連書籍を販売するほか、高座も設置している。毎週火曜日にはここで、定例落語会「らくごカフェに火曜(通う)会」という寄席も開催しており、女性客も含めて大いに盛り上がっているそうだ。

「不変なテーマが人の心をつかんでいる」

「落語カフェ」のブログ。店主の青木伸広さんが、写真たっぷりに店内の様子を紹介
「落語カフェ」のブログ。店主の青木伸広さんが、写真たっぷりに店内の様子を紹介

   落語がブームになっていることや、その魅力ついて、青木さんは「日本文化が見直されている、その流れの一つでは」と指摘したうえで、

「いま、披露されている落語のネタは、江戸時代から変わらない噺も多いんです。そして、今でもおなじ箇所で人は笑います。落語の登場人物にはだめな人、しょうがない人を笑い飛ばそうよ、という雰囲気があります。一方で、権力者に反発する話もある。そんな不変なテーマが人の心をつかんでいるのではないでしょうか」

   また、前出の小坂さんも、

「いまの『二つ目』は噺が本当に上手い! それこそ10年前は聞けたものではなかったのですが、今では十分に聞ける。そして、面白い。新宿末廣亭の深夜寄席などでは、若いカップルの姿も目に付きます」

と、落語家のレベルアップも魅力向上に起因しているとみている。

   この落語人気、しばらく続きそうだ。