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松本清張生誕100年記念映画
郷原編集長に聞く「ゼロの焦点」
「見事な三女優の競演」

郷原さん (C)2009 「ゼロの焦点」製作委員会。2009年11月14日(土)全国東宝系でロードショー。

11月14日(土)から公開される映画「ゼロの焦点」の試写を観ました。原作は松本清張のミステリー『ゼロの焦点』。推理作家にも非常に人気のある名作です。犬童一心監督の「ゼロの焦点」は原作を相当変えていますが、清張ミステリーの持ち味をうまく生かして、見事な映像美を作り上げています。人も風土も原作以上に哀しく、美しく描かれていて感動しました。

ヒロインの板根禎子を演じる広末涼子、新しい日本を夢見る金沢の名流婦人・室田佐知子役の中谷美紀、原作では重きが置かれていなかった受付嬢・田沼久子を演じる木村多江、3人の女優の競演がよかった。男性が観ても充分に楽しめる映画です。  物語の舞台は昭和33年。敗戦から13年が経ち、高度経済成長が始まった復興期の頃の話です。そんな時代は知らない、という若者たちのために、当時の社会状況がフラッシュバックで入っています。ただ、松本清張は人物描写がしっかりしているから、わかりやすいと思います。

結婚式から7日後、禎子の夫・憲一は勤務地の金沢に発ちます。東京に転勤するための引き継ぎがすんだら帰ってくるはずなのに、そのまま帰ってこない。禎子は憲一を捜そうにも、見合い結婚のため、夫のことを何も知らないことに気づく。夫の足跡を追って金沢に行った禎子は、夫の仕事の得意先である室田耐火煉瓦株式会社の社長夫人・佐知子と受付嬢の久子に会う。そして起こる謎の連続殺人事件。3人の女性が複雑に絡み合い、やがて清張が仕掛けた驚愕の真実が浮かび上がってくるという、極上のミステリーです。

1961年に松竹が野村芳太郎監督で映画化した「ゼロの焦点」が、生誕100年を記念して48年ぶりに再び映画化されたのですから、感慨深いものがあります。映画も女優も好きだった清張さんが生きていたら、この映画を観て喜んだのではないでしょうか。

昭和の「社会派推理小説」の巨匠、清張の作品と時代に迫る
清張生誕100年記念作品『週刊 松本清張』

週刊「松本清張」3 「ゼロの焦点」
「週刊 松本清張」第3号『ゼロの焦点』

発行所 (株)デアゴスティーニ・ジャパン
編集協力 (株)ジェイ・キャスト
A4変型判(32ページ)
商品番号 K011

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ごうはら・ひろし

1942年、島根県生まれ。詩人、文芸評論家。早稲田大学政治経済学部を卒業後、読売新聞社に入社。新聞記者、出版局編集者を経て、文筆業に就く。74年、詩集「カナンまで」でH氏賞、83年、評論『詩人の妻――高村智恵子ノート』でサントリー学芸賞を受賞。主な著書に『松本清張辞典決定版』『立原道造』『わが愛の譜-滝廉太郎物語』『詩のある風景』などがある。松本清張記念館発行の「松本清張研究」および雑誌等で、清張作品論の発表や対談を行う一方、清張について講演することも多い。11月、双葉社より『評伝 松本清張とその時代』を刊行予定。