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「韓流」旋風吹きまくった1年 知っておきたい「歴史」と「強さ」

   ドラマ「冬のソナタ」がきっかけとなった「韓流」ブーム。「少女時代」や「KARA」といった韓流ユニットの活躍がお茶の間の話題になるなど、いまや日本のエンターテイメントの一角を占めている。そればかりか、経済の分野でも日本の企業を脅かす勢いだ。とどまるところを知らぬ「韓流」ブームの背景や今を探る3冊を紹介する。(J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」https://books.j-cast.com/でも特集記事を公開中)

権力闘争めぐる歴史ミステリー

『永遠なる帝国』
『永遠なる帝国』

   隣の国でありながら、韓国の歴史は意外と知られていない。まず紹介するのは、文芸社から発売されている『永遠なる帝国』(著・イ・イナ、訳・武田康二、定価1680円)。1993年に出版され、韓国でたちまち大ベストセラーとなった歴史ミステリー小説の初の日本語版だ。

   舞台は18世紀の李氏朝鮮22代国王、正祖の時代。宮廷で起きた謎の殺人事件をめぐり、改革派とそれを阻止しようとする守旧派が入り乱れて熾烈な権力闘争を展開する。

   綿密な考証と膨大な知識によって重厚でスリリングな内容となっており、1995年に映画化され、韓国の国民俳優アン・ソンギが正祖を演じ話題を呼んだ。

   韓国の伝統社会と「韓流」の歴史ドラマの背景を理解するうえで貴重な1冊だ。

韓国から見た日本の弱点

『ソニーはなぜサムスンに抜かれたのか』
『ソニーはなぜサムスンに抜かれたのか』

   「日本に追いつけ、追い越せ」を合言葉に急成長を遂げてきた韓国経済。いまや自動車、大型テレビ、携帯電話など、これまで日本が得意としてきた分野に果敢に攻め込んでいる。文芸春秋から発売の文春新書『ソニーはなぜサムスンに抜かれたのか』(著・菅野朋子、767円)は、日韓の代表的企業であるソニーとサムスンを取り上げ、なぜ、日本は韓国に遅れをとったのかに迫る。

   著者は「円高ウォン安」の影響だけではなく、韓国企業の意思決定のスピードにその秘密の一端があると分析している。

   サブタイトルに「朝鮮日報で読む日韓逆転」とあり、「韓国メディアが解き明かす日本の弱点」という読み方もできる。それはとりもなおさず、今後、日本が再び韓国を抜き返すヒントとなる。

韓流ドラマをさらに楽しむ!朝鮮王朝520年の歴史

『知れば知るほど面白い朝鮮王宮 王妃たちの運命』
『知れば知るほど面白い朝鮮王宮 王妃たちの運命』

   最近では韓流ドラマの中でも、「イ・サン」や「トンイ」、「ファン・ジニ」など朝鮮王朝を扱った時代劇物が相次いで人気を集めている。しかし多くの日本人はその歴史にうとく、つい戸惑いがちだ。実業之日本社から刊行されている『知れば知るほど面白い朝鮮王宮 王妃たちの運命』(著・康熙奉、800円)は、そんな520年におよぶ朝鮮王朝の歴史をわかりやすく解説する。

   詳細な系譜で27人の王と42人の王妃たちの流れをたどり、人物相関図を交えながらドラマでおなじみの人物たちの関係をピックアップ。また個性豊かな「王妃」たちの生涯に焦点を合わせ、歴史に翻弄された悲劇の女性たちから、国を意のままにした「悪女」たちまで幅広い人物を取り上げる。読み物として面白いのはもちろん、韓流時代劇を観る際のガイドブックにうってつけだ。