2020年 1月 18日 (土)

「大震災」から1年たった今なにができるか? 冨田 晃の答えは『いのり』

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『いのり』
『いのり』

冨田晃
『いのり』
OMCA-1148
2000円
2012年2月1日発売
オーマガトキ


"祈り"を具体化する作業

   未曾有の大災害となった2011年3月11日の東日本大震災。

   あれから1年が経った。

   日本中の誰もが、戦慄し、泣いたあの日から、さまざまな闘いと復興への歩みがはじまっていた。

   昨年4月、波形編集という稀有な音作りで『月の光 ドビュッシー作品集』を発表、このページでも紹介した弘前大学・冨田晃准教授も、すぐに「自分にできることから」と現場に出向くボランティア活動を始める。

   と同時に、それとは異なる形で「なにかをやりたい」と模索し始める。

冨田「地震がおきてすぐにボランティアに出向いた一方で、自分でもなにかはわからなかったけれど、それとは違う形でできることがある、それをやりたいと思った。そして行き着いたのが、敢えて言葉にすれば"祈り"ということだった」

   現地に身体を運ぶボランティアもやるが、それとは異なるアーティスト・表現者としての欲求ということなのかもしれない。

   もう一度書くが、それは"祈り"だったと冨田は言うのだ。

   "祈り"は一般に宗教的行為と受け取られるが、冨田はこう表現する。

冨田「もし自分がクリスチャンとか仏教徒であったならば、それぞれの定型の方法で祈ることができただろう。しかし僕は特定の宗教を持たない。だから自分なりの"祈り方"をつくるしかなかった。それで、自分も祈り、誰でも祈れる方法としての音を作りたかったのかもしれない」

   「人類であれば同じ地平に立てる"祈り方"」を模索したのだという。

   冨田は前回も紹介した通り、写真家でもある。音作りと同じ発露として作品化しているのが、被災地で夜、早朝にマッチを擦って、その小さな火の軌跡を写真にすること。それらの作品をジャケット背面や中面に載せた。

冨田「マッチを擦って写真化するのも、波形編集で音を貼り付けていくのも、同じことをしているような気がする」

   それこそが、まさに冨田にとっての"祈り方"であり、それに共感することが、例えばボクのようにリスナーとして冨田作品と向き合った者の"祈り方"にもなるということなのかもしれない。

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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