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「カメコ」のこと、もうちょっと教えよう

   あるカメラ小僧の装備を見て目を見張った。カメラはキャノンEOSマーク②、レンズは24-70㎜と70-200㎜のズームレンズ、なんと16-35㎜のプロ並みレンズを備えている。まさにプロ仕様、すべて新品で揃えたら100万円は超えるだろう。

   さらにストロボは3台揃え、三脚からレフ板まですべて自前。重量にして15キロ以上の機材を自分の車に積み込んでレイヤーの撮影に挑む。腕は間違いない。この機材で撮影されるレイヤーは幸せものだ。彼は立派なカメラマン!カメコ(カメラ小僧)という呼び名は返上しよう。

   そのカメコに撮影を依頼するコスプレイヤーが増えている。2組に1組はカメラマンに撮影を依頼する時代に入っている。レイヤーはコスプレのコミュティーでカメラマンを募集する。その依頼内容を受けたカメラマンが応募する。逆もある。カメラマンがコスプレイヤーを募集するケースもある。お互いに募集するほうが経費を持つ。

   経費とはスタジオ経費、入場料、登録料になる。ただ撮影料はほとんど請求しない。実に合理的なルールだ。

カメコの腕前

写真提供:(株)音羽出版『コスBON』Fantasy ライブゲートで2012年6月3日にイベント開催
写真提供:(株)音羽出版『コスBON』Fantasy ライブゲートで2012年6月3日にイベント開催

   しかしながら上記のようなカメコは稀有だろう。確かに一眼レフを使っているカメコは多いが、ニコン、キャノンにしろ機材はボディーとレンズを合わせてせいぜい10万円程度だろう。

   カメラの構えを見ても、どう見ても素人。ストロボも使いきっていないようだし、そもそも被写体のレイヤーの言うなりに撮るだけで、自分からの注文はない。引き(望遠)、より(接近)などの撮影を見ても、メリハリがない。縦位置、横位置と使い分けるわけではなく、ただ接近戦のみ。これでは写真に変化がつかない。カメコの中でも腕は天と地ほどの差がある。

   カメコの中でも有名カメラマンがいる。彼はコスプレの写真を専門的に撮り、他の写真には見向きもしない。彼に写真を依頼するレイヤーは多く、ここで初めてギャラを手にしているカメラマンもいる。

   一般的なカメコは、カメラ技術もイマイチ。写真の出来もアップが多いが、全体的にとらえる引きの写真が少ない。40代の中年カメコも多く、まさに女性の傍に居られるのでカメラマンになったにわかカメラマンも多い。

   レイヤーも彼らの写真に満足する。まさに需要と供給が一致している。

肥留間正明

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【プロフィル】肥留間正明(ひるま・まさあき) 埼玉県生まれ、日本大学法学部卒業。作家、芸能評論家、ジャーナリスト、㈱音羽出版社経営。女性自身(光文社)記者として記者生活のスターと、週刊宝石(光文社)、 FLASH(光文社)創刊を担当、“巨乳”という造語を作る。エンターテイメント、歴史ドキュメントを中心に執筆、出版活動を本格的に開始。〈テレビ出演〉『やじうまワイド』(テレビ朝日)、『アッコにおまかせ』(TBS)、『ワイドスクランブル』(テレビ朝日)ほか。〈著作物〉『勝新 役者バカ一代』(音羽出版)、『がん闘ったスターたち』(テレビ朝日)、『ウオンビン 江原道から』(鹿砦社)、『チャン・ドンゴン~ソウルの空から』(音羽出版) 『オレンジレンジ~コザからのメッセージ』(音羽出版)、『龍馬と海』(上・脱藩編)/『龍馬と海』(下・亀山社中編)その他多数