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卵じゃなく、コロンブスのイチゴ!? 意外なイチゴのお話

   イチゴが美味しいシーズン到来! イチゴのルーツはアメリカ大陸にあり。コロンブスが新大陸を発見したことで、北アメリカからバージニアイチゴ、南アメリカからチリイチゴがそれぞれヨーロッパに渡り、そこで2つが交配されて、今、食べているようなイチゴが誕生した。おいしいイチゴが食べられるのは、どうやらコロンブスのおかげらしい。コロンブスの卵ならぬ、コロンブスのイチゴ...。今回はイチゴにまつわる意外な話、"目からウロコ"の話が収められた3冊をピックアップ。

   J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。

  • お菓子の由来物語
    お菓子の由来物語
  • お菓子の由来物語
  • 捨るな、うまいタネNEO
  • いちご

ショートケーキとイチゴ

   毎月22日は「ショートケーキの日」。なぜならカレンダーの「22」の上には必ず「15(イチゴ)」が乗っかっているから。さて、ショートケーキの「ショート(short)」は、本来、サクサクしたという意味。だからアメリカやイギリスのショートケーキは、日本のようなスポンジケーキではなく、ビスケットのような硬めの生地だそう。ショートっていう名前を拝借して、日本人好みのふわふわスポンジを選んで進化させたのは、ペコちゃんでおなじみ不二家。フランスにもイチゴのケーキはあるけれど、これは生クリームでなく、カスタードベースのバタークリームを使った「フレジエ」。フランス菓子を標榜するお店は「フレジエ」はあっても「ショートケーキ」を置かないところも......。

   こんなお菓子のいわれ、生い立ちをていねいにひも解いているのが『お菓子の由来物語』(著・猫井登、1944円、幻冬舎ルネッサンス)だ。左ページに美しい、おいしそうなお菓子の写真、右側が解説といった基本構成になっていて、眺めているだけで、もう頬っぺたが落っこちそう。ハードカバーの本格スイーツ事典である。

イチゴの種を粗末にしてはいけない!

   真っ赤なイチゴの表面にあるツブツブは実は、これが果実。なかに種が入っている。ピンセットでつまんで、土の上に蒔いて育てると、冬場でも、室内ならひと月で発芽して、ていねいに育てれば1年後に収穫可能。しかもイチゴは多年草だから、1回きりでなく翌年も、またその翌年もイチゴが食べられる。『捨てるな、うまいタネNEO』(著・藤田雅矢、756円、WAVE出版)には、イチゴの育て方が、口絵とともに丁寧に解説されている。

   イチゴ以外にも、リンゴ、ブドウ、レモン、アボカドなどが登場する。フルーツを食べるとき、種はたいてい不要なものとして捨てているけれど、実はみんな育つそう。

   「種はじゃまものではない。生きものと考えるとゴミのように捨てるのはひどく罪深いもの」と著者の藤田さん。イチゴをはじめ植物の生命力の強さと、その大切さを考えさせてくれる、そして試してみたくなる実用本だ。

40年たった今でも版を重ねるロングセラー

   『いちご』(著・新宮晋、1572円、文化出版局)はイチゴの成長を四季の移り変わりを通して描いた絵本。イチゴはひと口で食べられるほど小さいけれど、大きな自然から生まれ、イチゴが甘くておいしいのは、厳しい冬を知っているから...。

「太陽が金の雨を降らせる」
「イチゴには北極がある。南極がある。その間には金の鋲が打ってある。」
「赤い実のまん中には 太陽のとどかない白いつめたい世界がある。」

   ちょっと哲学的なすてきな言葉が随所に散りばめられていて、それがすべて日本語だけでなく、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語の翻訳付き。小さなイチゴが大きな地球や宇宙に見えてきて、元気な気持ちになれる不思議な絵本。

   最初は子どものために、つぎは孫のために買って読み聞かせたという読者によるレビューがあるが、小さな子どもだけでなく、いろいろな世代の人に愛されているロングセラーだ。