2024年 4月 17日 (水)

マスメディアがつくる「世論」 市民の信用過剰が生む不健全スパイラル

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■「日本の未来を考えよう」(出口治明著)

   年のはじめは、これからを考えるのにふさわしいときだ。読売新聞の書評委員を務めるなど経済界屈指の読書人・教養人として著名な出口治明氏(ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO)の「日本の未来を考えよう」(クロスメディア・パブリッシング 2015年9月)は、そのための恰好の1冊だろう。

  • 日本の未来を考えよう
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  • 日本国勢図会
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  • 世界国勢図会
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  • 文明が衰亡するとき
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年の初めにこれからを考えるための恰好の1冊

   出口氏は、70以上の国、1200を超える都市を訪れた経験を踏まえ、「日本ほど素晴らしい国はない」との結論を得た。また、「日本の未来は明るい」という。それは、「未来は現在の日本に生きている私たちがつくり上げるものだから」で、「暗い未来を導きそうな課題が目の前にあるのなら、それをしっかり受け止めて、明るい未来になるように対策を講じればいいだけ」と断ずる。「ただ、そのためには日本のありのままの姿をきちんと『知る』ことが必要」だとする。「相互保険」の生みの親にして、第一生命の創立者矢野恒太が1927年に出した統計データブック「日本国勢図会」(現在は、公益財団法人矢野恒太記念会から出版)、通称「図会」(ずえ)、その世界版である「世界国勢図会」を、出口氏は毎年必ず買って、眺めることを習慣としているという。矢野が、「図会」をつくったのは、これからの若い世代に、「客観データ」の価値を知らしめ、それによって主体的な判断を下せる「自立した日本人」を1人でも増やすためであり、出口氏は、この矢野の狙いを現代的に活かそうと、この本を世に問うたのだ。「人は『国語』で議論すると答えがたくさん出てきて議論が拡散しがちになるが、『数字』を介してみると、議論が収束して世界の姿がはっきりと見える」とし、物事を考える上での「タテ軸」(時間軸・歴史軸)と「ヨコ軸」(空間軸・世界軸)を持つことの重要性を指摘し、本書では、それを具体的なデータ(数字)で示すことで、日本が抱えている課題をよりクリアにすることを目指した。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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