2024年 4月 19日 (金)

"幸せ絶頂期"の作品、マーラー「悲劇的」 完成後さまざま不幸が降りかかり...

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   先週は、シューベルトの交響曲「悲劇的」をとりあげましたが、彼が活躍した音楽の都、ウィーンの世紀末に、一人の指揮者が登場します。グスタフ・マーラーです。現在では交響曲の作曲家として名高い彼の交響曲作品にも、「悲劇的」と呼ばれるものがあります。今日は、この曲、マーラー作曲『交響曲第6番イ短調「悲劇的」』を取り上げましょう。

  • 比較的若いころのマーラーの肖像
    比較的若いころのマーラーの肖像
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情熱ほとばしる音楽的実力...若干37歳でウィーンの歌劇場芸術監督に

   ウィーン郊外の出身だったシューベルトと違って、マーラーは帝国内ですが、ボヘミアのカリシュトという村の出身でした。現在はチェコ国内です。若いころから音楽の才能を発揮し、帝都ウィーンの音楽学校で学び、頭角を現します。学校を卒業後、20歳代で、カッセル、プラハ、ライプツィヒといったドイツ語圏のオペラ劇場の指揮者となり経験を積みます。30になるとハンブルク、そしてついには、ウィーンの歌劇場の指揮者に就任する...とこの経歴を見ると、輝かしい出世物語に見えます。それだけ、彼の音楽を作り上げてゆく情熱はすさまじく、演奏(指揮)であろうと、作曲であろうと、その情熱のほとばしりは変わらなかったのです。

   歌劇場の指揮者として、数々の伝説的公演を成功させたマーラーですが、その陰には苦労もありました。彼はユダヤ系だったため、ウィーンの指揮者になるにあたってカトリックに改宗していますし、ドイツ語圏の出身ではあってもボヘミア人だったため、「ウィーン(オーストリア)ではボヘミア出身といわれ、ドイツではオーストリア人と言われる」と彼が回想しているように、微妙な違いでいわれなき差別を受けたこともあったようです。しかし、どちらにせよ、情熱ほとばしるその音楽的実力で、ウィーンの歌劇場の芸術監督にまで若干37歳で上り詰めるのです。彼の練習は厳しいことで有名で、休憩もほんの短いものしかとらなかったそうで、ある日の練習で、珍しく指揮者マーラーが長い休憩をとってしばらく戻らなかったので、楽団員がその理由を聞いたところ、「ああ、ちょっと結婚式を挙げてきたんだ」と答えたというエピソードが残されています。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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