2024年 4月 21日 (日)

名作オペラ「ラ・ボエーム」に「秘密」あり 第3幕で流れる旋律をよく聞くと...

   今週は、超有名オペラのとあるアリアの原曲となった、あまり知られていない歌曲を取り上げます。イタリア・オペラの名作の数々を残したジャコモ・プッチーニの「太陽と愛」という小さな歌曲です。

  • 歌詞は全く別物で、さらに歌曲はピアノ伴奏、オペラは本来オーケストラ伴奏、という違いがあるが、メロディーが全く同一の2曲の楽譜
    歌詞は全く別物で、さらに歌曲はピアノ伴奏、オペラは本来オーケストラ伴奏、という違いがあるが、メロディーが全く同一の2曲の楽譜
  • 歌詞は全く別物で、さらに歌曲はピアノ伴奏、オペラは本来オーケストラ伴奏、という違いがあるが、メロディーが全く同一の2曲の楽譜
    歌詞は全く別物で、さらに歌曲はピアノ伴奏、オペラは本来オーケストラ伴奏、という違いがあるが、メロディーが全く同一の2曲の楽譜
  • 歌詞は全く別物で、さらに歌曲はピアノ伴奏、オペラは本来オーケストラ伴奏、という違いがあるが、メロディーが全く同一の2曲の楽譜
  • 歌詞は全く別物で、さらに歌曲はピアノ伴奏、オペラは本来オーケストラ伴奏、という違いがあるが、メロディーが全く同一の2曲の楽譜

二組のカップルが別離を選択する重要シーン

   実は、かのベートーヴェンも、合唱付きの交響曲である「第九」を書く前に、「合唱幻想曲」という曲を残しており、交響曲のような大編成の管弦楽に合唱を組み合わせる、という前代未聞の試みをしています。作曲家が、大規模な曲・・・時として、その作品は、作曲家を代表する作品となることがあるわけですが、その陰に、周到な準備の一環として、あまり有名でない曲を残している場合があります。

   プッチーニは、「トスカ」「蝶々夫人」「トゥーランドット」など、現代でも頻繁に上演されるオペラを作り上げましたが、最も上演回数が多い作品の一つが、パリに集う若き芸術家たちと、女性たちとの恋愛模様を描いた「ラ・ボエーム」です。名作オペラとなるには、必ず印象に残るメロディーを持ったアリアの数々がちりばめられることが必要ですが、「ラ・ボエーム」も冒頭から、主人公たちのアリアだけでなく、二重唱、三重唱、四重唱と、いくつもの名場面を彩るアリアが登場します。台本作者にも細かく指示を出して、台本にもこだわった円熟期のプッチーニの筆の冴えはすさまじく、これぞオペラ!という醍醐味を味わわせてくれる作品です。

   その第3幕に登場するアリア、主人公と、その友人と、それぞれの恋人たちの二組のカップルが、お互いの事情によって別離を選択するシーンで歌われるのが、「さらば甘い目覚めよ」というアリアです。二組のカップルの複雑な事情を、同時に二組の二重唱で歌う、この悲劇オペラの重要なシーンです。そして、このアリアを知っているオペラファンが、彼の歌曲「太陽と愛」を聞くと、びっくりします。メロディーが同じなのです。

本田聖嗣プロフィール

   私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中
カス丸

ジェイキャストのマスコットキャラクター

情報を活かす・問題を解き明かす・読者を動かすの3つの「かす」が由来。企業のPRやニュースの取材・編集を行っている。出張取材依頼、大歓迎!