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震度6弱「大阪北部地震」 全国どこでも起きる地震にどう備える

   2018年6月18日朝、大阪府北部を中心に最大震度6弱の地震が発生した。小学生や高齢者が崩れたブロック塀の下敷きになるなど死者も出ており、まだまだ予断を許さない状況だ。今回は、日本の生活とは切り離せない「地震」という災害について、メカニズムなどやこれまでの歴史、最新の研究や対策といった本を3冊ご紹介。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。

地震活発期にある日本、その連鎖の歴史

   日本の歴史は、地震の歴史だと言っても過言ではない。「平安時代初期の9世紀、日本全国で地震が相次いだ。東日本大震災に匹敵する869年の貞観地震。その少し前の864年から2年間、富士山の火山活動が活発になり、流れ出した溶岩が青木ヶ原を形成。そして、878年に相模湾付近が大地震に見舞われ、さらに887年には、南海トラフから仁和南海地震が発生し、大阪湾にも津波が押し寄せた。このときに、東海地震も同時に、あるいは連続して発生した可能性が高いという(本書より)」。

   『地震の日本史 大地は何を語るのか』(著者:寒川旭 中央公論新社 886円)は、「地震考古学」は、産業技術総合研究所招聘研究員で、地震考古学・地震地質学を専攻する寒川氏が日本歴史を地震の連鎖として描く異色の読み物。

   巻末には、東日本大震災に関連して、現在の日本列島と共通点が多い9世紀の地震活動を増補している。

地震予知とは何かがわかる一冊

   日本は1100年ぶりの地震・火山活動期に入った。この列島にいる限り、大地震が避けられないのはいまや常識。それをいかに早く、正確に予測するか...。東日本大震災は想定外であったとされるが、果たして本当にそうなのか。予知研究の専門家である著者、織原氏・長尾氏はその見解に反対であり、研究体制の不備が招いた惨事であるとしている。『地震前兆現象を科学する』(著者:織原義明、長尾年恭 祥伝社 864円)では、地震の予知はどこまで進み、どれほどの時間で達成されるのか。科学的なアプローチに加え、動物、地下水、電気関係にまつわる前兆現象についても徹底検証する。

   「東日本大震災は、本当に想定外だったのか?」「3つの民間地震予測情報を読み解く」「人が捉える前兆現象」「馬鹿にできない地震発生のうわさ」など全9章。

耐震技術の開発の歩みを探る

   世界一安全に造られていると言われていた橋はなぜ倒壊したのか?なぜ専門家は大被害を見抜けなかったのか?『地震との戦い なぜ橋は地震に弱かったのか』(著者:川島一彦 鹿島出版会 2,160円)では、1995年の兵庫県南部地震で発生した都市高架橋の倒壊を代表とする、地震動による橋の破壊現象を、耐震設計の歴史を振り返りながら検証する。

   同書は2016年度の土木学会「出版文化賞」を受賞した。その理由として同学会は、「関東大震災以後に導入された震度法とその問題点、1990年に導入された地震時保有耐力法、耐震基準の進展、免震・制振技術の導入、海外の耐震技術の状況、東日本大震災で問題となった津波・長周期地震動への対応といった、歴史的な経緯を解説するとともに、大規模実験による橋脚の破壊現象の再現などの研究成果が紹介されている」としている。また専門家である筆者ならではの迫力ある被害状況写真が、一般の人にもわかりやすい。