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50歳に聞く「70歳以降の人生楽しめますか」 「穏やかな老後」が描けない事情

   「人生100年時代」といわれる今、折り返し地点を迎えた人は人生の後半にどんな「設計図」を描いているのだろうか。

   メットライフ生命保険は2018年6月19日、50歳の男女を対象に実施した「将来」に関する調査結果を発表した。理想はあるが、そのための準備や行動を起こしていない人が大半だった。その理由とは。

  • 人生100年時代、後半の人生をどう生きるか
    人生100年時代、後半の人生をどう生きるか
  • 人生100年時代、後半の人生をどう生きるか
  • あと50年生きるとしたら、将来何になりたいか
  • 70歳になったとき、どうありたいか
  • 70歳以降の人生を楽しむために、具体的な計画・準備を進めていること、行動を起こしていること、心がけていることはあるか
  • 計画・準備や行動を起していない理由

70歳以降に働くことも視野に

   調査は5月8日~10日に、インターネットを通じて全国の男女1000人を対象に実施した。「あと50年生きるとしたら、将来何になりたいか」を聞くと、最も多かった回答は「悠々自適/楽しく・幸せにのんびり暮らしたい」(男10.8%、女16.2%)だった。また、20年後、「70歳になったときにどうありたいか」を聞くと、最も多かった回答は「現在の生活基盤を変えることなく、仕事をせずに暮らしたい」(男37.2%、女35.4%)だった。

   一方で、「現在の生活基盤を変えることなく、現在の仕事を継続していきたい」(男18.2%、女20.4%)、「現在とは異なる、新しい生活や仕事を始めていたい」(男女ともに32.4%)と、70歳以降も仕事をすることを視野に入れている人も多い。

   だが、現時点で「70歳以降の人生を楽しむために、具体的な計画・準備を進めていること、行動を起こしていること、心がけていること」を問うと、「特にない」という回答が男性59.2%、女性54.4%といずれも半数を超えた。

   「特にない」と答えた人(男296人、女272人)にその理由を聞くと、「経済的な理由」(男38.2%、女43.8%)による人が多いことがわかった。50歳という後半人生の折り返しの年齢においても、経済面における不安を抱え、具体的な将来像や夢を描けず、それに向けて具体的な行動を起すに至っていない人が多いことがわかる。

柔軟な将来設計が求められる時代

   この調査の中で、東京大学・高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授は結果について以下のようにコメントしている。

「この調査対象となった50歳の人たちの定年は、70歳になっている可能性が大いにありうる年代で、穏やかで自由な老後という将来像はなかなか描けない。『70歳になったときも現在の仕事を継続していきたい』と答えた人が約2割いるというのは、その覚悟の表れと言えるのではないか。これからはキャリアやお金などについて、もっと柔軟な将来設計をしなければいけないということでもある」