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わずかな水滴で漏水感知、紫外線の可視化 「アナログ半導体」最新技術に迫る

   最先端のIT技術が集う展示会「CEATEC JAPAN (シーテック ジャパン)2018」が、2018年10月19日まで幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されている。

   10月15日、J-CASTトレンド記者は先行のメディア向け内覧会に参加し、アナログ半導体メーカー「ABLIC(エイブリック)」(本社・千葉市)のブースを取材した。

  • 「CEATEC JAPAN2018」に出展したエイブリックのブース
    「CEATEC JAPAN2018」に出展したエイブリックのブース
  • 「CEATEC JAPAN2018」に出展したエイブリックのブース
  • 漏水探知システム「T-iAlert WD」使用イメージ
  • UVカメラによる撮影
  • 可視光撮影とUV光撮影の見え方の違い

自然の中の微小なエネルギーを貯める

   エイブリックは目玉のひとつとして、立命館大学と共同研究した「CLEAN-Boost(クリーンブースト)」技術を利用した実験キットを展示した。クリーンブーストとは、微小なエネルギーを蓄電・使用するということを指す。このエネルギーは、土の中にいる発電する細菌「発電菌」が生み出すものなどで、太陽光発電の約100分の1程度だ。だが、エイブリックの装置を使ってエネルギーを貯め、無線発信等に利用できる。

   クリーンブースト技術の具体的な用途としては、大手建設会社「大成建設」(本社・東京)と共同開発した漏水探知システム「T-iAlert WD」がある。

   仕組みはこうだ。特殊な金属が中に入っているリボンを配水管に巻きつけ、リボンに1、2滴でも水が付くと「漏水している」と探知する。リボンに付着した水からエネルギーを集め、1~2分で無線発信に必要なエネルギーが貯まり、それを使ってスマートフォンに警告メールを届ける。

紫外線可視化を美容分野にも活用目指す

   もうひとつ、記者が驚いた技術は「UV(紫外線)の可視化」だ。東北大学大学院と共同開発した「UVカメラ」を使って撮影した映像が、モニターに映し出された。真夏日の太陽の約2倍に相当する紫外線を当てたシリコン製の「手」だ。だが、手の甲の一部だけが真っ黒になっている。これは直前に「UVクリーム」を塗った部分で、クリームが吸収している紫外線に反応して、UVカメラが黒く可視化したのだ。一方で、人工のライトのような紫外線を含まない可視光を使って手を撮影したカメラでは、手はどの部分も同じ色だった。

   数時間後にUVカメラの映像を見ると、真っ黒だった手の部分は灰色になっていた。つまり、UVクリームの紫外線を吸収する効力が弱まってきたということを意味する。エイブリックの担当者は、これをUVクリームの塗り替えの目安にするなど、今後は美容・ヘルスケア分野での活用なども考えていきたいと話した。