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外国人労働者流入国第5位の日本 未来はどう変わる

   現在、国会では外国人労働者の受け入れをめぐる「出入国管理法」の改正について、活発な議論が繰り広げられている。人手不足が叫ばれ、日本で働く外国人の重要性がますます増加する一方で、技能実習生たちの不当な労働や待遇が問題になるなど、解決すべき問題は山積みだ。今回は、日本で働く外国人労働者についてその理由と実態、今後の動きなどさまざまな視点から問題を探る3冊をご紹介。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。

コンビニで働く外国人店員は何を夢見る

   全国の大手コンビニで働く外国人店員はすでに4万人超。実にスタッフ20人に1人の割合だという。「移民不可」にもかかわらず、世界第5位の「外国人労働者流入国」に日本がなったカラクリとはいったい何なのか。『コンビニ外国人』(著者:芹澤健介 新潮社 821円)では、著者の芹澤氏が地道にコンビニを訪ね、外国人店員から話を聞いた彼らの本音と日本の現状を炙りだしていく。

   「彼らがそこで働く理由/アルバイトは週に28時間まで・100万人の外国人労働力に依存する日本・急増するベトナム人、ネパール人 ほか」「東大院生からカラオケ留学生まで/8人で共同生活・"辞めないでほしい"と毎月1万円・留学生の間にはびこる人種差別 ほか」「技能実習生の光と影/コンビニも技能実習制度の対象に?・技能実習生の労働環境・留学生が実習生をトレーニングする? ほか」「日本語学校の闇/9割が留学生という大学・年収100万円の日本語教師・教師一人で留学生100人という現場も・日本語学校が留学生の書類を偽造 ほか」など全7章。

共に暮らす外国人労働者たちを直視した現場からの声

   単純労働を実質的に担う技能実習生・留学生等の受け入れ拡大が「移民政策をとらない」とする政府のもと進められている。『新 移民時代――外国人労働者と共に生きる社会へ』(編集:西日本新聞社 明石書店 1728円)は、建前と本音が交錯する制度のひずみを国内外の現場取材によって浮き彫りにした西日本新聞連載企画の書籍化したもの。

   「出稼ぎ留学生」「留学ビジネスIネパールからの報告」「留学ビジネスII 学校乱立の陰で」「働けど実習生」「変わる仕事場」「アメリカからの報告 日系人が見た 揺れる超大国」「交差する人々」ほか全8章。

   平田オリザ氏、石破茂氏、堺屋太一氏、田中宝紀氏ら各界の著名人のインタビュー記事も掲載している。

外国人雇用を考える企業経営者・採用担当者が使える基本書

   外国人雇用はいまや日本の経済上不可欠という現状だが、それには特別な配慮が必要とされる。『外国人雇用の実務<第2版>』(著者:近藤秀将 中央経済社 3456円)では、雇用における「法務」だけでなく「経営」(管理運用)の2つの側面のバランスを重視する必要があると近藤氏は言う。特定行政書士・海事代理士である筆者が異なる文化・慣習を持つ外国の方の受入れ体制の構築の具体的方法論を展開。本書は初版刊行後、2年が経過しこの間の外国人雇用を取り巻く変革、法改正を折り込み刊行するもので、新たな視点として外国人の「キャリアデザイン」を追加している。