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こんなにつらい... 「摂食障害」を知ってほしい

   2005年の名古屋国際マラソンで優勝したこともある、元女子マラソン日本代表の原裕美子さんが万引きしたとして逮捕され、2018年12月3日に執行猶予付きの有罪判決を受けた。判決後の記者会見で、原さんは自身が「窃盗症」であったことと、病気の現実を告白。引き金は現役時代からの「摂食障害」にあったことも明らかにした。日本でも受診患者数が2万人以上、未受診例も多いと言われる摂食障害について、その症例や問題などを紹介する本をご紹介。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。

うつ病、パニック障害、社交不安障害を併発する恐れ

   10代~30代の女性に圧倒的に多く見られる「摂食障害」は、心と身体の両面から起きる心の病。症状が進むとうつ病、パニック障害、社交不安障害などのさまざまな病気を併発する。『焦らなくてもいい!拒食症・過食症の正しい治し方と知識』(著者:水島広子 日東書院本社 1404円)では、対人関係療法の第一人者と称される対人関係療法専門クリニック院長の水島広子先生が、女性ならではの心理を尊重し、さまざまな症状が予測される患者との柔軟な対応法を公開している。

   「摂食障害は治る病気です/拒食症とはどんな病気か・摂食障害はゆきすぎたダイエットではなく病気です・どんな人がなりやすいか・"母親の育て方が原因"という考え方には要注意 ほか」「摂食障害の悪循環から抜け出そう!/摂食障害になると、悪いパターンが悪化する・自分を責める悪循環から抜け出そう ほか」「摂食障害と関係のある病気/強迫性障害・アルコール依存・薬物依存・境界性パーソナリティ障害 ほか」などの全5章。

「ふつうに食べられない人」6人に長期間インタビュー

   過食・拒食を繰り返す"ふつうに食べられない人"6人に、4年間、111時間におよぶインタビューを通し、食の本質を探る『なぜふつうに食べられないのか 拒食と過食の文化人類学』(著者:磯野真穂 春秋社 2700円)。摂食障害という病名の先に彼女たちを待ち受けていたのは、「本質主義」の罠であった...。

   「ふつうに食べられない人生(視線・応答・逃避―結城理央の場合;飲まない半生―長田奈々の場合;拡縮する自己―荻原由佳の場合;外見がすべて―田辺敬子の場合;誰が「やせ」を望むのか)」「医学的視座―「摂食障害」の治し方(還元主義―「個人を見よ」という医学の教え;還元主義の検証―とりこぼされたもの;カロリー地獄―澤拓美の場合;「おいしさ」のない食事―概念による体験の抑圧;ぶれる―武藤さゆりの場合;「家族モデル」の閉じられた救済)」「食体験準拠論―体験が語る食の本質(フロー―過食の「楽しさ」;反転する日常―キャベツで過食ができない理由;食の本質―私たちが食べるわけ)」の全3部。

女優の枠を超えた遠野なぎこさんの覚悟と心の叫び

「15歳の時、母親からお前は醜いと言われた。吐き方を教わった。その日から私は、食に支配されて生きている。この地獄から救ってくれるのは、精神薬?愛?それとも、死?これはダイエットではなく心の病。もう、隠したくない。この苦しみ、知ってほしい...」(本書より)。

   衝撃的な生い立ちを明かし、話題を呼んだ処女作から一年。摂食障害、強迫性障害、身体醜形障害など20年近く患い続けているさまざまな心の病について語った女優・遠野なぎこさんの告白本『摂食障害。食べて、吐いて、死にたくて。』(著者:遠野なぎこ ブックマン社 1404円)。

   「食べて、吐く。それは、15歳からはじまった。(「吐けばいいのよ」と教えられて/ 体重計の数値は私を裏切らない/ "過食嘔吐"の後に訪れた、"拒食"の恐怖 ほか)」「傷の舐め合いをして何が悪い?と思いながら、あなたの悩みにお答えします。(愛する彼に"摂食障害"を隠し続けるべきか?/ 大事な人に"摂食障害"を理解されなかったら?自分を認めることで、他人を信じられるかも ほか)」。