J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

【2018年トレンド総決算:ツイッター】31万フォロワー「キングジム姉妹」人気の秘訣

   ツイッターのフォロワー数が31万人に上るのが、ラベルライター「テプラ」などを手掛ける文具メーカー「キングジム」(東京都千代田区)だ。広報室の女性社員2人が「キングジム姉妹」として運用に当たっている。このように、複数人がそれぞれ個性を出しながらツイッターを管理している企業は珍しい。

   J-CASTトレンドはキングジム姉妹を直接取材! 人気ツイートを連発する「秘密」を探った。

  • (左から)中の人「姉」、「妹」
    (左から)中の人「姉」、「妹」
  • (左から)中の人「姉」、「妹」
  • 笑顔で取材に答えてくれたキングジム姉妹

バナナマンの「紅白歌合戦副音声」のように

――まず、ツイートするときの工夫を教えてください。

   姉:フォロワーによって「会話を楽しみたい」、「商品知識を得たい」などニーズが違うので、できるだけ多くの人に楽しんでもらえるよう、ツイート内容のバランスに気を配っています。感覚的ですが、3割は企業・製品情報だとすると、残りの7割は日常の呟きや他の企業アカウントとの会話、個別のリプライへの対応、企業サイトからこぼれ落ちたちょっとした情報や商品の意外な使い方の紹介に当てています。例えばサイトが「紅白歌合戦」の本放送だとすると、ツイッターはバナナマンが副音声でやっている「裏実況」のような立ち位置のつもりです。

   妹:私は「姉を意識するけど、意識しすぎない」です。以前、姉が一時的にツイッターから離れ、私が引き継いだのですが、当時のファン層が姉の投稿を見てフォローした人達だったので、皆さんが何を求めているかを考えて、「姉の影」を感じながら呟きたいなと...。それは今も常に意識しています。ただ、性格や考え方も姉とは違うので、無理にまねしすぎないようにとも思っています。

   姉:「隙のない」作り込まれた内容より、少し「遊び」を残した不完全なものが好まれる傾向があるので、皆さんに楽しく会話に参加してもらえるような投稿を心がけています。

――「遊び」を残した投稿......具体例はありますか。

   姉:今年3月にツイッターで、ビニール傘の柄に「お前のじゃない」と書かれたラベルを貼った画像の投稿が話題になりました。よく見ると、そのラベルが「テプラ」で作られたものだと気づいたんです。さっそく、ラベルが印刷される動画や、いろいろな事務用品に「お前のじゃない」ラベルを貼った写真を投稿したところ、「誰のだよ!!」、「私も傘に『お前のじゃない』ラベルを貼りました」というリプライがあり、多くの反響がありました(笑)広告的な内容を押し付けるのではなく、このような投稿を楽しんでもらうことで、結果的に「テプラ」をふと思い出す瞬間が増えればいいなと考えています。

――2人でツイッターを運用する魅力は何でしょうか。

   妹:ふとした瞬間に「これ、ツイッターのネタになりそう!」という発見をしたとき、その面白さをわかってくれる共有相手が近くにいるのはいいことだなと思います。私は普段から「2ちゃんねる」(現:5ちゃんねる)を見て、「【悲報】」とか、流行っているタイトルの書き方を参考にしているのですが...やっぱり日ごろからインターネットに触れて、言葉にできない空気感を知っている人でないと理解が難しいトレンドや面白ネタがありまして。

   姉:そういえば1人でツイッターを運用してた頃、社員に「このツイート、どこが面白いのか説明して」なんて言われたな...(笑)

「ファンミーティング」をやってみたい

――2人がツイッターを運用するようになった経緯を教えてください。

   姉:まず2010年2月、社長が私にツイッターの立ち上げを指示しました。

   妹:私が初めてツイッターで呟いたのは2015年8月ごろです。先に話したように姉がツイッターから1年ほど離れることになったので、私が運用を引き継ぎ、週に1回ほど担当する「妹の日」を作りながら3か月ほどかけて少しずつ慣れていきました。16年3月から17年4月までは私1人で、17年5月以降は私と姉が定期的に交代しながら運用しています。

――他社のツイッターアカウントの管理者から、「2人で運営していていいね」と言われることはありますか?

   姉:言われますね、「キングジムさんは安泰だね」と。企業アカウントはどこも後継者問題が切実なようです。

――今年は昨年と比べてどんな1年になったと感じていますか。

   妹:フォロワーとの距離がより縮まったなと。学校で会った友達と交わす「日常会話」に近いやりとりができる空気を感じています。

   姉:今年は妹が忙しくてなかなかツイッターに登場する機会がなかったのですが、そうするとフォロワーの「妹欲求」が溜まるのか、私が「妹に交代する」とツイッター告知すると「わー、待ってました!」と大歓迎してもらえるんです。姉と妹、2人での運用が認知されてきたんだな、と感じる1年でしたね。

   妹:私がツイッターに久しぶりに登場したとき、「おかえり」という言葉をもらいまして。なんか家みたいになってる、と思いました(笑)

――最後に来年、挑戦してみたい取り組みについて教えてください。

   姉:弊社ではツイッターを「コミュニケーションをとる場」と位置付けており、フォロワーとの交流をとても大切にしてきました。その軸は変えずに、実現できるかはわかりませんが、いつか「ファンミーティング」みたいなことをやってみたいです。

   妹:どういう人がいつも応援してくれるのか気になりますし、純粋に会ってみたいです。リアルイベントを実施することで、より皆さんとの距離感が近くなれば。これからも、必要とされる限りはツイッターの運用を頑張っていきたいですね。

   姉:そうですね。日々精一杯ですが(笑)