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「卍山下」「勘解由小路」「臥龍岡」...何て読むんだ? ニッポンの名字(1)

   突然だが「卍山下」「勘解由小路」「臥龍岡」「小鳥遊」「月見里」...これらは、日本に存在する名字なのだ。はて? 何て読むの?? まず、そんな人に出会ったことがない。でも、実在するのだ。

   実は2月13日は「名字の日」。J-CASTトレンドでは、日本の名字研究家として知られる森岡浩氏を取材。名字のあれこれを3回にわたってお届けしよう。

  • 日本人の名字について語る森岡浩氏
    日本人の名字について語る森岡浩氏
  • 日本人の名字について語る森岡浩氏

なぜ「2月13日=名字の日」なの?

   まず、なぜ2月13日が「名字の日」なのか? 歴史をさかのぼること、1875年(明治8年)、明治維新後のことだった。新政府は、平民苗字必称義務令(へいみんみょうじひっしょうぎむれい)を法令で定め、同年2月13日に公布。すべての国民に苗字(=名字、または姓)を名乗るよう義務付けたことによるものだった。

   J-CASTトレンドが取材した「姓氏研究家」の森岡浩氏は、高校在学中より地域の名字について興味を持ち、約40年近く、日本の名字について研究してきた。2017年4月から放送しているNHK総合「日本人のおなまえっ!」にもレギュラー出演している。

   同氏に、日本人の「珍名」について聞いてみた。

   まず、「卍山下」なる名字が存在するという。記者が調べてみたところ、大分県杵築市に、その姓が存在した。杵築市役所によると「本人は特定できませんが、確かにそういった名前があります」という。

   「卍山下」と書いて、果たして何と読むのか?

   森岡氏によると、

「『まんざんか』という方ですね。実在します。元々は、曹洞宗の僧侶による名字だと考えられます」

   いろいろ調べると「江戸時代の僧侶である『卍山』からで、その『卍山』の門下だったことに由来する」ということだった。

   面白いので、もっと不思議な名字を聞いてみた。

   読めますか? 実在する日本の名字

・勘解由小路(かでのこうじ=元公家の出身)
・臥龍岡(ながおか=寝ている龍「臥龍」は長い岡のようだから)
・小鳥遊(たかなし=小鳥は弱いため、敵を気にして遊ぶことができない。しかし、鷹のような強い鳥がいなければ、安心して遊ぶことができるだろう、という意味)
・鶏冠井(かえで=ニワトリの冠といえば「トサカ」。このトサカ、紅葉したカエデの形に似ていることから)
・一尺八寸(かまつか=鎌の束が一尺八寸なので)
・月見里(やまなし=月を見るには山がない方がよく見えるから)
・八月一日(ほづみ=この時期、稲穂を積んでいたことから)
・四月一日(わたぬき=この時期、着物の綿を抜いて衣替えしたことから)
・九(いちじく=「九」1字で「く」と読むことから、これだけで「いちじく」)
・十(もぎき=一見、漢数字の「十」に見えるが、実は「木」という漢字の両側の払いがなくなっているもの 。「木の払いをもいだ形だから」ということに由来)
※該当する文字を表示できないため、ここでは漢数字の「十」で代用しています

   なるほど~。日本の名字にも、いろいろあるものだ。(続く)