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ラグビー五郎丸歩「W杯日本大会」語る 自国開催だからこそ気になる盲点

   ラグビー元日本代表の五郎丸歩選手(ヤマハ発動機)が2019年2月26日、笹川スポーツ財団(東京・港区)主催のイベント「スポーツアカデミー」に登壇、「ラグビーワールドカップ2019に向けて」と題したトークセッションを行った。

  • 多くのフラッシュを浴びながら、壇上を後にする五郎丸歩選手。右は元日本代表の増保輝則氏。左奥は衆議院議員の遠藤利明氏
    多くのフラッシュを浴びながら、壇上を後にする五郎丸歩選手。右は元日本代表の増保輝則氏。左奥は衆議院議員の遠藤利明氏
  • 多くのフラッシュを浴びながら、壇上を後にする五郎丸歩選手。右は元日本代表の増保輝則氏。左奥は衆議院議員の遠藤利明氏

南ア戦勝利「『仙豆くれた』って思いました」

   同イベントは、五郎丸選手のほか、衆議院議員で元東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣の遠藤利明氏、岩手県釜石市ラグビーワールドカップ2019推進本部事務局主幹の増田久士氏、そしてラグビー元日本代表で2019アンバサダーを務める増保輝則氏で行われた。

   トークセッションは、一般のファンも入場。現在では行っていない「五郎丸ポーズ」をせがまれ、照れ笑いを浮かべながらファンサービスに応じた。

   一方で、報道陣からは2019W杯日本大会への質問が飛んだ。2015年W杯、日本代表は当時の世界ランキング3位だった南アフリカと初戦を戦った。世界中のラグビーファンが「南ア勝利」と予想したものの、後半終了間際まで3点差の攻防を繰り広げた。

   終了間際、相手がペナルティーを犯した。日本29-32南ア。キッカーは五郎丸選手。PG(ペナルティーゴール=3点)を挙げれば同点という場面。しかも、五郎丸選手のキック精度をもってすれば、確実に同点を狙える位置だった。

   しかし、リーチマイケル主将以下が下した判断は「スクラム」だった。コーチングボックスのエディ・ジョーンズ前監督は激怒。それでも、選手には「自信があった」そうだ。

   五郎丸選手は、その時を振り返り、

「その前のプレーで日本代表が押し込まれた時、相手がPGを選択したんですね。『仙豆(せんず=漫画・ドラゴンボールのアイテムで、食べると一気に元気が回復する豆)くれた』って思いました。だって、実力差があれば(相手は)トライを狙ってくる場面でしたから。これは『イケる!』と感じました」

   そして劇的な逆転トライで34-32。うなだれる南ア選手を前に、ジャンプしながら抱き合う日本選手たち。スタジアムは「ジャパン! ジャパン!!」の大歓声に包まれた。

中3日の強行日程...それを上回る「脅威」とは?

   しかし、次戦のスコットランド戦。実は、南ア戦から中3日という強行日程だった。スコットランドは日本戦が初戦。ラグビー経験者なら理解できるだろうが、80分間の激闘を終えた人間というのは、まさに「満身創痍(まんしんそうい)」である。つまり「ピンピン」状態のスコットランドと、日本は戦わなければならなかった。結果は、10-45。大敗を喫した。

   しかし、五郎丸選手は、

「日程については、最初から分かっていたこと。自分たちの準備ができなかっただけ」

と、決して言い訳はしない。さすがは「桜のジャージ」をまとった男。記者は、サムライ魂を感じてしまった。

   2019日本大会では、日本代表にとっては試合日程が非常にうまく組まれた。2019年9月20日のロシア戦から、ほぼ1週間おきに試合となっている。また自国開催ということもあり、選手たちにとっても移動は気楽だろう。

   ところが五郎丸選手は、

「自国開催の重圧、というものは計り知れないだろうと思います。海外の試合なら、自由な時間に各々、外に出たりとか、リラックスして過ごせます。でも、国内ではマスコミに張り付かれますから。そのプレッシャーの方が、厳しいと思います」

という主旨のコメントをした。

   開幕まで約7か月。報道も徐々に熱を帯び始めているが、我々メディアも、まずは「選手ファースト」を心掛けなければならない。

(J-CASTトレンド編集部 山田大介)