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【激アツ!Tリーグ観戦記】13勝無敗の早田ひなが見せた涙のわけ

   卓球「Tリーグ」のプレイオフファイナルが2019年3月17日、東京・両国国技館で行われた。女子はリーグ2位の「日本生命レッドエルフ」が、石川佳純選手(26)擁する同1位の「木下アビエル神奈川」を破って、初代チャンピオンに輝いた。

   シーズンMVPには、プレイオフで2勝、シーズンでも11勝0敗の早田ひな選手(18、レッドエルフ)が選ばれた。

  • 早田ひな選手
    早田ひな選手
  • 早田ひな選手
  • サーブ&レシーブ
  • 試合中のワンシーン
  • 第3マッチ後に崩れ落ちる早田選手
  • 穏やかな表情でレッドエルフファンが座る客席の方向を見つめる早田選手
  • ヴィクトリーマッチ後に涙
  • 優勝決定直後のインタビュー
  • 日本生命レッドエルフが女子初代チャンピオンに
  • 早田選手はシーズンMVPにも輝いた
  • 優勝にはしゃぐレッドエルフの選手たち

世界選手権代表選考の悔しさ晴らす

   第3マッチ(試合)とヴィクトリーマッチ(第5マッチ)に出場し、2勝した早田選手。どちらも対戦相手は袁雪嬌(エンシュエジャオ)だった。試合後の囲み取材では、チームの優勝を決めたヴィクトリーマッチより「第3マッチがきつかったです」と振り返った。

「何度もマッチポイントを握られて。(相手は)第4マッチに石川選手が控えているというのもあったので、私が負けたら(チームの勝敗が)1-2になって、(石川選手と戦う)前田(美優)選手にプレッシャーがかかり、厳しい戦いになると思ったので」

   プレイオフでは勝負強さが光った早田選手だが、最近の試合では苦い思いをした。4月にハンガリー・ブダペストで行われる世界選手権のシングルスでの出場をかけた3月2日の代表選考会で、同世代の加藤美優選手(19、日本ペイントマレッツ)に3-4で敗れた。最終ゲームは5-10と大幅リードでマッチポイントを握るも、大逆転負けを喫したのだ。

   今回も同じように最終ゲームにもつれる大接戦だったが、相手にマッチポイントを握られることが多かった。それでも激しい打ち合いの末、19-17で勝利を収めた。

「選考会の時に最後まで同じことをして負けてしまいました。相手に手を読まれて、サーブなども工夫できませんでした。今回は絶対に同じことをしたくないいと思いました。(自分が)マッチポイントをとったときに、何か違うようなことをしなきゃ勝てないと思って、思い切ってロングサーブを出して、勝ちにつなげることができました」

   試合中は、自分を落ち着かせるかのように何度もうなずく仕草や、早田選手へ大声援を送っている客席の方を見つめるシーンもあった。

「1本1本考えていたので、どっちかというとマッチポイントを握られているという感覚はなかったです。(相手のボールが)ここへきたらこう返そうということしか考えていませんでした。むしろ握られているときのほうが思いっきり打てたと思います」

   勝利が決まった瞬間、その場に膝から崩れ落ちてしばらく立ち上がれなかった早田選手。目は少し潤んでいるようにみえた。

ヴィクトリーマッチは「冷静に、でも強気で」

   ヴィクトリーマッチは第4マッチ(ダブルス1戦、シングルス3戦)終了時点の両チームの勝敗が2-2になったときのみ行われ、勝利チームを決める。出場選手はそれぞれの監督がその場で発表する。第3マッチで激闘を繰り広げた早田選手と袁選手の名前がコールされると、大歓声が起こった。

   ヴィクトリーマッチは1ゲーム(11ポイント)のみ。試合中は落ち着いた様子に見えた。試合にはフラットな気持ちで入れたという。試合は6-6まで接戦だったが、以降は早田選手がリードを広げた。結果的に11-7で勝利し、チームを優勝へ導いた。

「ヴィクトリーマッチは何も考えずにゼロの状態で試合に臨めました。緊張せずに、冷静に、でも強気で試合に入ることができました」

   試合後は涙をぬぐいながら、袁選手と握手を交わした早田選手。ベンチに戻ると同じく涙を浮かべるチームメイトと抱き合った。一方で、トロフィー授与の際ははじける笑顔を見せていた。