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高血圧予防のために積極的な牛乳摂取を 不足しがちなカリウムを毎日の1杯で補給

「毎日の牛乳で、不足しているカリウムの補給を!」。乳業関係者の業界団体「Jミルク」はこのほど、こうしたテーマで、49回目となる「メディアミルクセミナー」を開催した。

   東京都千代田区の大手町サンケイプラザで2019年3月18日に開かれた同セミナーでは、人間総合科学大学人間科学部健康栄養学科の奥田奈賀子教授が講演。「牛乳」に含まれる栄養成分のひとつで、ナトリウムの体外排出を助け、高血圧を予防するはたらきがある「カリウム」にスポットを当て、牛乳摂取を通じてカリウムを補給することの重要性を訴えた。

  • 講演する人間総合科学大学人間科学部健康栄養学科の教授・奥田奈賀子氏
    講演する人間総合科学大学人間科学部健康栄養学科の教授・奥田奈賀子氏
  • 講演する人間総合科学大学人間科学部健康栄養学科の教授・奥田奈賀子氏
  • メディアミルクセミナーの様子

手軽かつ経済的にカリウム補給するには「牛乳」を

   奥田氏はセミナー冒頭、2016年の「国民生活基礎調査」から要介護に認定される原因となった疾患をまとめたデータを紹介した。最多原因の「認知症(18%)」に次いで多いのが「脳卒中」で、17%がこれにより要介護者となっているという。奥田氏はその脳卒中が起こりやすくなる原因について、「高血圧」であると説明。そのうえで世界32か国、男女1万人以上を対象に行われた食塩と血圧に関する国際共同疫学研究「INTERSALT」の結果から

「食塩(ナトリウム)摂取量が多いと血圧値は高くなります。一方、カリウム摂取量が多いと血圧は低くなります。脳卒中を予防するには高血圧を予防することが大切で、カリウムの摂取が必要です」

とした。

   厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2016年)によると、世界保健機関(WHO)が定める1日のカリウム摂取目標(3500mg)に対し、現代日本人の1日のカリウム摂取量は男性2356mg、女性1932mgに留まっている。さらに栄養と血圧に関する国際共同研究の「INTERMAP」のレポートを見ると、日本のナトリウム摂取量は英国や米国と比べて多い。つまり「食塩摂取が多く、カリウム摂取量が少ない」という状態だ。

   では、どのようにカリウム摂取を心がけていけばいいのか。特にカリウムが多く含まれるのは野菜や果物、大豆製品だが、奥田氏は「昨今の外食機会の増加に伴い、カリウム摂取量が増える要因は乏しい」とみている。

「例えば、『サラダだけではお腹が膨れない人ので、より満腹感を得られる肉料理や魚料理を頼む』という人や、『スーパーで野菜を買おうとすると大根1本で100円以上するので、経済的ではない』と感じる人が多いのではないかと思います」

   そこで、牛乳だ。奥田氏は牛乳の魅力について「おいしく、1リットルで安いものは100円台で手に入るため手軽で経済的」と述べ、安価に牛乳摂取の習慣化は可能で、カリウム補給で得られる高血圧予防効果は大きいことを訴えた。