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【センバツ】10年ぶりの全国の舞台で見えた課題

1回戦 明石商VS国士舘

   東京の王者で10年ぶりに聖地に帰ってきた国士舘。対するは、近畿大会で準優勝の結果を残し、昨夏に続いて2季連続甲子園に来た地元兵庫の明石商。

   国士舘の先発はエース・白須仁久。秋に比べてテイクバックが身体の近くで動く、非常にコンパクトかつ効率的なフォームに進化した。この冬、法政大の三浦銀二投手のフォームを参考しながらシャドーピッチングでフォームを固めてきた。

   右上手から常時135キロ前後の速球、スライダーを低めに集めた投球が光り、明石商の狭間監督も「白須くんが丁寧な投球ができていました」と敵将もたたえる内容だった。

   その白須は初回、明石商の3番・重宮涼を併殺打に仕留めるなど、無失点で立ち上がるも、2回に6番・岡田光にショートへの内野安打と7番・河野光輝のライト前のヒットで二死一、三塁としてしまう。

   ここを踏ん張りたいマウンドの白須だったが、8番・清水良と9番・中森俊介に連続四球で押し出し。明石商に先制点を取られると、続く1番・来田涼斗にはインハイのボールをライトへ運ばれ3失点。国士舘は3点を追いかける展開となる。

   まずはランナーを出して1点ずつ返していきたい国士舘だが、明石商先発の中森の140キロ台のストレートと130キロ台のスプリット。そして120キロのスライダーにチェンジアップと多彩かつ力のピッチングの前にチャンスが作れない。

   しかし4回、国士舘にチャンスが訪れる。振り逃げで4番・黒澤孟朗が無死から出塁すると、5番・森中翼のライト前や、6番・鎌田州真の併殺崩れなどで二死一、三塁。この場面で8番・白須がセンターへタイムリーを放ち国士舘が1点を返す。

   2回こそ3点を失った白須だったが、それ以降は外角中心にボールを集めて打たせてとる丁寧なピッチング。味方の援護を待ち続けた。

   しかし7回、先頭の8番・清水を四球で歩かせるとバッテリーミスと9番・中森の送りバントで一死三塁。ここで国士舘は先発の白州から2番手・山田裕也にスイッチするも、痛恨のバッテリーエラーで4点目を献上。1対4とさらにリードを許してしまう。

   さらに続く8回は、5番・溝尾海陸のセンター前を皮切りに3つの四死球に1番・来田の犠牲フライと2番・水上桂のタイムリーを許し勝負あり。1対7で国士舘は初戦で姿を消すこととなった。

   試合後、7回途中までマウンドに上がっていた白須は、

「今日はキャッチボールの段階で指のかかりは良かったです。なのでボールが低い弾道でも伸びて手ごたえはあったのですが、変化球が回を重ねるごとにコントロールできませんでした。夏に向けてそこを磨いていきたいです」

と課題を語った。

   今日の白須の調子については、キャッチャーの沢野智哉は、「ボール自体は走っていました。あとスライダーも良かったので、外角にボールを集めて相手の長打を警戒しました」と語る。

   それでも全国の舞台で1勝とはならなかった。沢野は、「一球で試合の流れが変わることが分かりました。4月からの都大会では選抜出場校として自覚をもって戦いたい」とコメントを残した。

   一方、野手陣。今日2安打を放った3番・渡辺伸太郎は、「相手はストレートが速くて変化球も良い投手でした」と明石商の中森の印象を語り、どのように対応したのか続けて話を聞くと、「低めの変化球を見逃して、浮いてきた甘いボールを打っていく」ことをチームで徹底してきた。

   渡辺同様に2安打を放った5番・森中は、変化球中心の配球を察知し、甘いボールを打とうと意識して結果を残した。しかし、「ランナーがいる時に1本打てなかったので、夏は打てるようにしたい」と反省と意気込みを語ってくれた。

   国士舘のいる西東京には日大三や東海大菅生などの強豪校がひしめく。この激戦区を勝ち抜き、再び甲子園で戦う姿を見たい。

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編集長は安田未由。
地区予選から全国大会の観戦レポートや野球部訪問、高校球児やプロ野球選手のインタビューに至るまで、幅広く掲載。
昨年からは、中学野球にスポットを当てた、ネクスト球児企画も開始。次世代の甲子園のスター発掘にも力を入れている。