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台風で体調不良は「自律神経の乱れ」が原因? 医師が勧める「ヨーグルト」「ストレッチ」

   2019年9月8日夜~9日朝にかけて、台風15号が関東地方を通過した。その前後、ツイッターでは「台風が近づくと体調が悪くなる」といった投稿が散見された。頭痛や腹痛、ぜんそくの悪化など不調の形は様々だ。天候の変化で起きるこうした症状はしばしば、「気象病」と呼ばれる。

   J-CASTトレンドでは、「気象病外来」を設ける「せたがや内科・神経内科クリニック」(東京都世田谷区)の久手堅司院長に、気象と体調不良の関係、またその対策について取材した。

  • 気候の変化で体調不良に(画像はイメージです)
    気候の変化で体調不良に(画像はイメージです)
  • 気候の変化で体調不良に(画像はイメージです)
  • せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司(くでけん・つかさ)院長
  • 耳を引っ張るストレッチ
  • タオルを使ったストレッチ
  • 久手堅院長が勧める「レーズンバナナヨーグルト」

患者の7~8割は女性

   久手堅院長によると、「気象病」の症状が特に出やすいのは、梅雨の期間と、冬に向けて気温が下がり始め、台風も頻発する今の時期だ。台風15号の上陸後は、多くの人が「気象病外来」を受診したと話す。

   「気象病」とは正式な病名ではなく、気象変化(気圧、温度、湿度の変化)によって起きる体調不良の一般的な呼称との説明だ。症状は多岐にわたり、人によってどんな不調が出るかも異なる、と久手堅院長。具体的には、頭痛・めまい・肩こり・首こり・低血圧・全身倦怠感・動悸・目のかゆみ・鼻水・ぜんそくなどが現れる。

   久手堅院長が診察した患者は、10代~80代まで幅広い年齢層だ。中でも女性が圧倒的に多く、全体の7~8割を占める。

   久手堅院長は、原因の多くは自律神経にあると話す。気圧や気温が大きく変化したとき、人間は自律神経の働きによって体内の環境を一定に保とうとする。女性は生理周期によるホルモンバランスの変化によって自律神経が乱れやすいため、気圧差や寒暖差の影響が大きく出て、不調につながるのだ。

   この不調は、自律神経を整えることで改善できるが、放置すると慢性化し、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が低下することもある、と久手堅院長。気圧低下の影響による血圧の低下が原因で、朝起き上がれなくなる日が多くなり、休職せざるを得なくなった患者もいたと話す。また、頭痛を抑えようとして鎮痛剤を多用した結果、薬が原因の頭痛「薬物乱用頭痛」が起こることもあるそうだ。

   自律神経を良い状態に保つうえで、「ヨーグルトの摂取」と「手軽にできるストレッチ」を久手堅院長は勧める。

   「腸の状態を整えると自律神経の安定にもつながります」

   久手堅院長は気象病の症状に悩む患者に、100~200グラムのヨーグルトに1本のバナナ、レーズン混ぜて毎朝食べるよう推奨している。

「自律神経と腸内環境は連動していて、腸の状態を整えると自律神経の安定にもつながります。腸内環境を安定させるために、一番とりやすいのはヨーグルトです。(気象病の症状で悩む)女性は鉄が足りないこともあるので、ヨーグルトにレーズンを加えると栄養も豊富ですし、不足しがちな鉄分もあわせてとれます。バナナには、自律神経に作用するセロトニンという物質を作るトリプトファンが含まれています。合わせるとより食べやすいですし、朝の忙しい時間に栄養も水分もとれるのでお勧めしています」

   また、首や肩のこりも自律神経に影響を与えるため、毎日継続できる簡単なストレッチも有効だという。

   気づいたときにいつでもできるストレッチとして、2種類を紹介してくれた。

   1つは、耳たぶを水平方向に5~10秒引っ張るもの。耳を上下に動かすのでも良い。

   もう1つは、ハンドタオルを使う。斜め上を向き、タオルを後頭部から耳の後ろに当て、視線の先の方向に引っ張るもの。この時、首はタオルと押し合うように後ろ向きに力を入れる。

   1日に何回でも、気づいたときに1~2分程度行うようにすると効果的との話だ。

   最も重要なのは、これらを習慣化することだと久手堅院長。体調が悪くなってから対処するのではなく、不調が出にくくなるように常日頃から自分自身のメンテナンスを心がけてほしい、と呼びかけた。