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インターバル速歩後30分以内に乳製品摂取で筋力増 生活習慣病予防に期待

   乳業関係者の業界団体「Jミルク」は50回目となる「メディアミルクセミナー」を、東京都千代田区の大手町サンケイプラザで2019年10月9日に開催した。

   テーマは「日常の体力作りと最適な牛乳摂取の関係」。信州大学大学院医学系研究科教授・医学博士の増木静江氏が、同大学考案の運動法「インターバル速歩」の研究成果などを元に、最適な牛乳摂取のタイミングを紹介した。

  • 講演する信州大学大学院医学系研究科の増木静江教授
    講演する信州大学大学院医学系研究科の増木静江教授
  • 講演する信州大学大学院医学系研究科の増木静江教授
  • メディアミルクセミナーの様子

通勤時のわずかな時間に取り入れられる

   インターバル速歩とはゆっくり歩きと早歩きを交互に3分間ずつ繰り返す運動だ。トレーニングにあたって準備する道具はなく、社会人も通勤時のわずかな時間に取り入れることができる。

   増木教授は、NPO法人「熟年体育大学」が中高年を対象に行った取り組みを紹介し、インターバル速歩が体力向上、血圧低下、ひいては生活習慣病予防につながると説明した。5か月間、インターバル速歩トレーニングを続けた被験者と、1日1万歩を歩くトレーニングを行った被験者の結果を比較したところ、前者は膝伸展・屈曲筋力がそれぞれ最大20%増加した。一方、後者はこれらの効果が得られなかったという。

「インターバル速歩を5か月続けることで得られる結果には『20%の法則』があります。体力が最大20%向上し、高血圧や高血糖、肥満など生活習慣病症状が20%改善します。これによって医療費が20%抑制されるのです」(増木教授)

運動後にコップ1杯の牛乳を

   インターバル速歩は乳製品により効果を増す。インターバル速歩を6か月以上継続している中高年を対象に、(1)インターバル速歩のみ、(2)インターバル速歩後、30分以内にチーズ(18グラム)か、ヨーグルト(80グラム)摂取、(3) インターバル速歩後、30分以内にチーズ(18グラム)と、ヨーグルト(80グラム×2)摂取、の3群に分け、その後5か月間インターバル速歩トレーニングを実施した結果、平均で(3)は筋力が8%増加したが、(1)は増加せず、(2)は微増だった。増木教授は、

「インターバル速歩後に乳製品を摂取すると筋力が増加します。これにより、生活習慣病やがんなどの発症や進行に関わる『慢性炎症』の抑制にもつながるのです。トレーニング後に魚や肉を食べるのは難しいかもしれませんが、乳製品であれば手ごろで手に入れやすく、調理も不要なので、ぜひトレーニングと併用していただきたい」

と説明した。なお摂取する乳製品は牛乳でも代用可能で、インターバル速歩後に300ミリリットル程度飲むのがよい。

   内閣府の「平成29年版高齢社会白書(概要版)」によると、2025年には 65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になるという推計がある。Jミルクは発表資料で「60歳以上の男女8割が排尿障害を患う」とし、

「これらの症状は生活習慣病に起因しているといっても過言ではない。生活習慣病を予防し、健康寿命の延伸やクオリティーオブライフ向上のために、適切な体力作りを行うことが必要不可欠」

としている。そこで本セミナーを通じ、生活習慣病を予防するための体力作りの方法や効率の良い乳製品摂取タイミングについて広く周知する目的があった。