2019年 12月 8日 (日)

ガムの味あて 壇蜜さんはマスカットを青リンゴと誤認して自虐の一句

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   週刊新潮(10月10日号)の「だんだん蜜味」で、タレントの壇蜜さんが不確かな味覚について書いている。食にまつわる連載エッセイ、回を重ねてこれが215回目である。

「夜走り(よばしり)という言葉を知る」

   作品は、こう始まる。筆者との関係性は伏せられているが、20代半ばの男性が発した言葉である。サービス業の傍ら、人や物を運ぶドライバーも請け負う働き者だったと。副業の営みは夜間が多い。その彼が「夜走りはしんどいけどお金になりますからねぇ」ともらしたというのだ。時間あたりの稼ぎがいい、ということだろう。

「お金を貯めて何をするのかは聞いていないが、さまざまなワラジを履くことには理由があるのだろう。私が彼くらいの年のころは、そんなに働いていたかなと振り返る」

   そんなに働いて...いなかった。20代半ば当時の壇蜜さんは、会社をクビになり無職。就職紹介サービスを頼ったのはいいが、そこのスタッフに惚れてしまうという始末で、思い返して「夜走りの若い男との落差に恥ずかしくなった」そうだ。

   昼に仕事をしての副業。しかも長時間の夜間労働に耐える精神力に感心した壇蜜さんは、眠気防止の秘策を彼に問う。答えは「いろいろな味のキャンディー」だった。

   暗い営業車内で独り、指に触れたキャンディーを口に含み、どの味なのかを当てるのだという。「答え合わせ」のために包み紙はとっておき、ラジオを聞きながら舐め尽くす。視覚情報がないため、ウメ味かと思いきやスモモだったり、けっこう難しいらしい。

  • 冨永も運転席に常備している粒ガム。信号待ちの間に、色は確認せずに口に放り込む
    冨永も運転席に常備している粒ガム。信号待ちの間に、色は確認せずに口に放り込む

洗濯しながら挑戦

   居眠り運転への対策といえば、コーヒーかガム、エナジー系ドリンクだと思っていた筆者は不意を突かれる。「斜め上の可愛さを含んだ回答だった...この男は随分と高尚なことをしながら運転をしているのだなと恐れ入った。末恐ろしいが、やはり可愛さもある」

   感心した彼女はある日の夜、自宅の脱衣所で洗濯中に消灯し、洗い上がりを待ちながらガムをかんでみた。粒ガムのボトルには、色違いで7種のフルーツ味が入っている。

「目を閉じて一粒選び口に入れる。正解用に外側の色のついている部分をほんの少しかじって握り、ひたすら味わった...分からない。分からないぞこれは」

   回転する洗濯機のわきで、味がなくなるまでかんで得た結論はこうだ。

「この爽やかな感じ。どこか酸っぱいような気がする...よし青リンゴだ」

   明かりをつけて、握った欠片を確認したら、残念ながらマスカットだったそうだ。

   連載にお約束で添えられる自作川柳は次の通り、いやはや結構でした。

〈夜濯(すす)ぎを 遊んで待つは 味音痴〉

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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