2024年 4月 19日 (金)

棒高跳びの鉄人・澤野大地の芸術性 まっすぐ、高く飛ぶ姿は美しい【特集・目指せ!東京2020】

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   1932年ロサンゼルス五輪、1936年ベルリン五輪ではメダルを獲得した日本男子棒高跳びだが、1952年ヘルシンキ五輪の入賞を最後に世界から遠ざかり、冬の時代に突入する。

   そこに現れたのが澤野大地選手(富士通)だ。

   高校時代にはインターハイで連覇を達成し、高校三年生の時には高校記録・ジュニア日本記録を更新して優勝。その後も勢いは止まらず、2003年、04年の日本選手権を2年連続日本新記録で制し、「エアー大地」という敬称で呼ばれるようになる。

   そして、39歳となった現在でも日本選手権2位に輝く。この年齢でも第一戦で戦い続けている――。

   誰にでも分かる比喩を使えば、まるでイチロー。

   簡単に同調しない日本人らしくない姿勢と、一方では聴衆が理解できているか巻き込みながら丁寧に進めてもいく。その受け答えもイチローのようだった。(インタビュアー:石井紘人 @ targma_fbrj)

  • 練習の後、グラウンドをバックに
    練習の後、グラウンドをバックに
  • 「東京五輪に向けてひと言」とリクエストすると、色紙にこう書いてくれた
    「東京五輪に向けてひと言」とリクエストすると、色紙にこう書いてくれた
  • インタビューに丁寧に答える澤野選手
    インタビューに丁寧に答える澤野選手
  • 真剣な表情でインタビュアーの話を聞く
    真剣な表情でインタビュアーの話を聞く
  • 練習の後、グラウンドをバックに
  • 「東京五輪に向けてひと言」とリクエストすると、色紙にこう書いてくれた
  • インタビューに丁寧に答える澤野選手
  • 真剣な表情でインタビュアーの話を聞く

2つの五輪で手にした幸福

――2003年パリ世界陸上選手権での決勝を怪我で棄権したことはインパクトがあり、初めての挫折に思えました。いかがでしょうか。

澤野 メディアの皆様には、そのように見えたかもしれませんが、2003年以前にも挫折はあります。ただ、この棄権は非常に勉強になりました。予選を突破することで精一杯な体力しかなく、もっと総合力を上げないと世界で勝てないと痛感しました。
この経験が2004年アテネ五輪では生きて、決勝に進出できました。さらに、アテネ五輪での経験が05年のヘルシンキ世界陸上選手権8位入賞に繋がります。
06年は世界の選手と渡り合うために、ほぼ海外の試合を選択して、各地を回っていました。

――それが2006年、世界のトップ選手しか出場の許されないワールドアスレティックファイナルにも繋がるのですね。

澤野 はい。ただ、そこからが右肩上がりとはいきません。2008年の北京五輪は出場できたものの、アキレス腱の状態が悪く、自分の力を発揮できませんでした。20代後半になり、若い時とは肉体も変わってきます。出力は変わらなくても、スタミナが不足するのです。そこで練習内容などを変えていきました。それまでのウエイトや走りメインだったトレーニングを、感覚を鍛えるトレーニング、分かりやすく言うと体幹トレーニングやバランストレーニングにしました。その結果として14年アジア大会で銀メダルを獲得でき、16年のリオ五輪7位入賞となります。

――先駆者として大変多くのプロセスを踏んでいますが、思い出に残っている試合を教えてください。

澤野 全てが思い出深いですが、一つは子どもの頃からの夢だった五輪の舞台に立てたアテネ五輪です。五輪発祥の地でもありますし、あの時の感動は強烈に残っています。
もう一つは、リオ五輪です。今までの経験が生きて、「五輪でこういう戦いが出来るようになった」と。入賞して、自分自身の喜びと、周りの応援や支えてくれる人々がすごく喜んでくれた喜び、二つの喜びがありました。リオにいた3週間は、自分の人生の中でも1位、2位を争う幸せな時間でした。スポーツは、自分も、周囲も幸福感を得られる。それを学生に伝えていきたいと思っています。

文:石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。
著作に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)、プロデュース作品に久保竜彦が出演した『弾丸シュートを蹴る方法』(JVD)がある。
『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「静寂から熱狂そしてリスペクト」などを寄稿。
株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作した『審判』の版元でもある。

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