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豪雨の被災地で「破傷風」に気をつけて ワクチン接種も10年過ぎたらもう一度

   熊本県南部を中心に九州地方では、豪雨による河川の氾濫などで60人以上の死者が出るなど甚大な被害が出た。

   被災地では、復旧作業をする際に感染症への注意が必要となる。J-CASTトレンドでもそのリスクと対策について取り上げている。中でも「破傷風」については、ツイッターに「破傷風って土が原因なのか・・・知らなかった」、「破傷風のリスクは知らなかった」などの書き込みが見られる。

  • 感染症のひとつである破傷風って?(画像はイメージ)
    感染症のひとつである破傷風って?(画像はイメージ)
  • 感染症のひとつである破傷風って?(画像はイメージ)

約80%の患者がけいれんや呼吸困難、死亡率高い

   一般社団法人日本血液製剤機構の公式サイトによると、破傷風は土壌に広く生息する破傷風菌が原因で引き起こされる。破傷風菌は、強力な神経毒素で中枢神経を侵し、命に関わる症状をもたらす。感染すると、約80%の患者がけいれんや呼吸困難、脳炎などの全身的な症状によって非常に危険な状態に陥る。今も死亡率の高い病気だという。

   破傷風菌は傷口から侵入する。例えばさびた釘が刺さったり、グラウンドで転んで皮膚を擦りむいたり、傷があるのに土いじりをした場合などだ。今回の九州での豪雨のような自然災害時には、感染リスクが高まる。菌は小さな傷からでも侵入し、中には傷が見当たらないのに感染する場合も。さらに、極めて少ない量の菌でも侵入して増殖すれば容易に発病する。

   ただ国立感染症研究所の公式サイトには、破傷風はヒトからヒトへ伝播することはない、とある。

1968年以前に生まれた人も要注意

   破傷風を防ぐには、何よりも予防接種が大切だ。

   日本では現在、12歳までに3種混合ワクチンまたは4種混合ワクチンと、2種混合ワクチンの定期接種が実施されている。これには破傷風のワクチンも含まれているため、接種によって抗体が獲得できる。

   しかし、日本血液製剤機構によると、3種混合ワクチンが定期接種化された1968年以前に生まれた人や、最終接種から10年以上追加接種を行っていない人、長期海外赴任、途上国への渡航を予定している人は、破傷風予防接種の対象となるという。たとえ幼少期にワクチンを接種していても、10年を過ぎていれば再度接種したほうが良い。

   破傷風のワクチン接種は、ワクチンを取り扱う全国の医療機関で受けられる。しかし、予防目的では任意接種となるため、健康保険適応対象外だ。自費診療は、医療機関により料金設定が異なるため、該当の機関で確認するとよい。