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球場名「スポンサーの都合」で突如変わる ネーミングライツと企業買収、契約解消

   球場などのネーミングライツ(命名権)を有する企業が買収されたり、契約を途中で解除したりした場合、その後の命名権はどうなるのだろうか。

   「ベスト電器スタジアム」の命名権を有するベスト電器(福岡市)は、2021年7月1日にヤマダデンキ(群馬県高崎市)に吸収合併される。1月20年の西日本新聞電子版によると、命名権の保持についてはヤマダ側と協議した上で決める方針だ。過去の類似のケースを振り返る。

  • ネーミングライツによる球場名に愛着を抱くファンもいる
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「ZOZOマリン」は変わらず

   米ワシントン州シアトルの「ルーメン・フィールド」。米プロフットボール(NFL)の試合で使われる球場だ。米紙シアトルタイムズ(電子版)2020年11月19日付の記事によると、2002年のオープン当初には、地元のNFLチームの名を付けた「シーホークス・スタジアム」だった。

   その後、命名権を通信会社の「クエスト・コミュニケーション・インターナショナル」が04年に取得し、「クエスト・フィールド」に改称した。

   しかし、クエスト社は11年、同業の「センチュリーリンク」社によって買収された。これにより、球場名も「センチュリーリンク・フィールド」へと変更された。そして2020年に「センチュリーリンク」が「ルーメン・テクノロジーズ」に社名変更したことで、現在の球場名となった。

   日本での事例ではどうか。プロ野球・千葉ロッテマリーンズの本拠地「ZOZOマリンスタジアム」の命名権を有する「ZOZO」は、19年にヤフーに買収された。同年9月13日付のスポニチアネックスによると、ZOZO社長の澤田宏太郎氏は命名権契約について「やめる理由はない」と会見の中で話した。契約期間は26年までで、21年の現在も球場名に変更はない。

「フルスタ宮城」「QVCマリン」は契約途中で

   契約が途中解消になる場合もある。例えば、人材派遣会社の「フルキャスト」が05年、3年契約で宮城県から宮城球場(現・楽天生命パーク宮城)の命名権を取得し、「フルキャストスタジアム宮城」と名付けたケースだ。

   だが07年8月、フルキャストは労働派遣法違反により東京労働局から業務停止命令を受けた。同年10月15日の宮城県教育委員会定例会の議事録によると、フルキャストから宮城県側に「県や県民に迷惑をかけた」という陳謝とともに命名権の返上の申し出があり、3年の期間を満了せずに契約解消となったという。

   16年9月28日付の産経ニュースによると、通販番組運営会社の「QVC」も16年に「QVCマリンフィールド(現ZOZOマリン)」の命名権契約を任期満了前に解除。同社は「知名度の上昇など当初の目標が達成できたため」と説明しており、計3億3000万円の違約金を千葉市と千葉ロッテに支払うことになった。

   最近では、サッカーJ1・湘南ベルマーレの本拠地「Shonan BMW スタジアム平塚」の命名権契約が、22年に設定されていた契約期限を待たずに21年1月末で解除される。20年7月18日付の神奈川新聞電子版によると、これは契約企業が別の親会社に譲渡されたことによるものだ。なお、2月からの新たな愛称は「レモンガススタジアム平塚」になる。