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恩赦が与えられる「条件」 米国は詐欺や薬物犯罪でも減刑、日本では

   トランプ前米大統領が退任直前に恩赦を実施した。対象者は有罪判決の効力の失効や、刑罰の軽減を受けられる。ラップ歌手のリル・ウェイン氏や元首席戦略官のスティーブン・バノン氏ら73人に恩赦が与えられ、さらに70人が減刑された。

ウェイン氏は、弾薬入りの銃を違法に所持していた容疑で20年12月に逮捕され、最大で懲役10年の刑が科せられる可能性があったと21年1月21日の日刊スポーツ(電子版)が報じている。日本でも恩赦はあるが、こうした犯罪でも対象になるのか。
  • 日本ではどのようなときに恩赦が(写真は本文とは無関係です)
    日本ではどのようなときに恩赦が(写真は本文とは無関係です)
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道交法違反で免停が再び免許取得可能に

   「令和元年版 犯罪白書」によると、恩赦は内閣の決定によって実施される。政令で一定の要件を定めて一律に行う「政令恩赦」と、個別に審査して恩赦を判断する「個別恩赦」がある。個別恩赦には常時行われる「常時恩赦」と、内閣の定める基準によって期間を限って行われる「特別基準恩赦」が存在する。

   19年10月18日付のFNNプライムオンラインによると、日本では天皇陛下の即位の礼(同年)にあたり、およそ55万人に対して恩赦が実施された。同年10月25日の法務省発表によると、政令恩赦と特別基準恩赦を実施。罰金刑を終了して一定の期間が経った人への「復権」や、病気などにより刑の執行が停止され、長期間執行が困難な人への「刑の執行の免除」だった。

   復権では刑によって制限が生じた資格を回復させる。先のFNNの記事によると、例えば道路交通法違反により免許停止となった人が、再び免許を取り直せるようになる、といったものだ。

   犯罪白書(令和元年版)によると、「刑の執行の免除」とは、「無期刑の仮釈放者に対して保護観察を終了させるなどの措置」。

平時でも行われる「常時恩赦」

   国立国会図書館の「調査と情報」1027号によると、昭和天皇の大喪(1989年)や平成の天皇陛下(現上皇さま)の即位(90年)、現天皇陛下の御結婚(93年)に際して、それぞれ政令恩赦や特別基準恩赦が実施された。また、89年には「軽犯罪法に違反する罪」などを対象として、刑罰の執行を無効にする「大赦」令が出された。加えて前述した2019年の天皇陛下の即位に際した恩赦のほか、常時恩赦は普段から行われている。

   米国では、先述したように今回「最大で懲役10年」の可能性があった人物が、恩赦を与えられた。そのほか今回のトランプ氏の恩赦では、不動産投資詐欺や薬物犯罪により服役している人への減刑についても発表されている。

   一方の日本。2019年の「即位の礼」に伴う恩赦の内容は、罰金刑の執行を終了した人を対象とした「復権」や、刑の執行困難者への「刑の執行の免除」のみだった。