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3度目の緊急事態宣言 「若者は...」の声に大学生がぶつけた本音(前編)

   ゴールデンウイークに入ったが、東京、京都、大阪、兵庫の4都府県では緊急事態宣言下にある。酒類を出す飲食店には休業要請も出され、SNS上では「路上飲み」批判の向きもある。

   コロナ禍を過ごす大学生は、対面授業や飲み会のようなイベント参加を制限され、人との交流機会を作れずにいる現状をどう感じているのだろうか。J-CASTトレンドは学生3人に取材し、率直な気持ちを聞いた。2回にわたってお届けする。

  • 大学からは飲み会に「自粛要請」(写真はイメージ)
    大学からは飲み会に「自粛要請」(写真はイメージ)
  • 大学からは飲み会に「自粛要請」(写真はイメージ)

「2年目もダメなのかと」

   取材に応じたのは、東京都内にある大学に通う男子学生3人。2年生のTさん、3年生のSさん、4年生のHさんは、同じイベントサークルに所属している。

   大学側は学生に対し、2020年3月ごろから飲み会を自粛するよう求めている。さらにはサークルでの課外活動やイベントの運営・開催も原則として禁止されてきた。Sさんは「1年以上(飲み会やサークル活動を)制限されていて。大人しく従ってきた」と話す。

   21年4月現在、学生によるイベントはオンラインでの開催が求められるなど、いまだにサークル活動には制限が存在し、新入生歓迎会も開けない。

   また、20年度は対面授業がほとんど行われず、講義は原則として全てオンラインだった。大学に行く機会もなく、飲み会も開けない。3人とも友人にほとんど会えなかったという。

   2回目の緊急宣言が明けた21年4月、対面授業が再開し、キャンパスに学生が集まるようになった。大学からは依然として飲み会の自粛を求められているが、要請を無視し、SさんとHさんは授業後などに居酒屋で友人と会うようになったと明かす。

「『1年間なら』って、飲み会やサークル活動を我慢してきた。2年目もダメなのかと」

   こう話すSさん。Hさんも「もう1年以上こんなことをやらされて、でも状況が改善する見込みはない」と不満を語った。そして4月23日、3回目の緊急事態宣言が発令された。

若者の権利「当たり前のように制限する感じ」

   Sさんは、今回の宣言の効果に疑問を示す。暖かくなるこれからの時期に居酒屋へ休業要請しても、今度は公園や路上で飲み会を開く人が出てきくるのではないかと推測した。

   また、「コロナとの日常に慣れたし、去年1年間耐え忍んできたところで、これ以上は(飲み会を)我慢できないという人が周りで増えている」と話す。

   政府や自治体による自粛の呼びかけについては、「当たり前のように(行動を)制限する感じがちょっと気に食わない」と素直に語った。

「会見などを見ていると、『飲み会・コンパ・入学式・卒業式で集まることはやめてください』と呼びかけられる。そこに、ポーズでもいいからせめて『若者の権利を奪っていることを許してくれ』といった言葉が1つでもあれば、印象は変わってくるとは思うんですけど」

   2020年4月に入学したKさんは、入学式を経験していない。新型コロナの影響で中止になったのだ。Sさんの言葉に、Kさんは「僕も記念ごとを奪われたっていう不満はあります」と続けた。

   緊急事態宣言で居酒屋が閉まる中、SさんとHさんは、これから人に会う時は公園での飲み会の開催を考えているという。

   路上や公園で飲み会を行う人への批判もある。だが、Sさんは「気にしていない」。コロナ禍の前まで、Sさんの周りでは駅前の広場や公園で飲み会をすることが多かった。こうした外での飲み会について「(Sさんらの)文化として染み付いています」という。

   また大学が求めてきた通りに今まで飲み会を我慢してきたという思いが強く、自分たちが直接路上飲みについて注意されない限りは、批判を気にすることはないと話した。(後編に続く)

(J-CASTトレンド 田村 今人)