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ワクチン接種で「特典」に批判も 「若者も順番が早まる」自治体がメリット強調

   新型コロナウイルスのワクチンを接種すれば、商品券や割引サービスが受けられる――こうした「ワクチン特典」を打ち出す自治体や企業が増えている。

   高齢者を中心に接種が進むが、若い世代にまで行きわたるには時間がかかりそうだ。テレビで「ワクチン特典」が取り上げられるとツイッターには、それより先に接種券が欲しい、高齢者だけ特典を受けられてずるい、と厳しい意見も。J-CASTトレンドは、特典を用意する自治体側にその意図を聞いた。

  • ワクチン接種で「特典」つける自治体続々(画像はイメージ)
    ワクチン接種で「特典」つける自治体続々(画像はイメージ)
  • ワクチン接種で「特典」つける自治体続々(画像はイメージ)

「打ちたくても打てない人」いるが

   神奈川県横須賀市では、2021年6月中旬から「ワクチン接種推進キャンペーン」を行う。市内で共通のポスターを掲示するほか、キャンペーン協力店舗でワクチン接種済証を提示すると、特典サービスが受けられる。

   市の文化スポーツ観光部商業振興課を取材すると、「打てるようになったら打ちましょう」と接種を促すアピールのために、同キャンペーンを今から始めると担当者は説明した。現在はまだ接種を受けられない人の方が多いと前置きしつつ、キャンペーンを通して「接種を迷っている人や、『後でいいや』と思っている人に少しでも早く受けていただけたらとの思いがあります」と明かす。

   インターネット上に出ている一部の厳しい意見について、打ちたくても打てない人がいる中で、特典という言葉を聞いてフラストレーションを感じることに担当者は理解を示した。ただ、上の世代の接種が迅速に進めば、下の世代にも順番が早く回ってくる。「集団免疫を獲得する、という意味では皆さんにメリットがあるものと考えています」と説明した。

少しでも早く接種を進めたい

   埼玉県宮代町では、ワクチン接種者に1000円分の「宮代町ご当地商品券『ありがとう』」を配布している。受け取ると、町内の飲食店や衣料品店、生花店など広く利用できる。

   宮代町役場健康介護課の担当者は、「打つのが面倒だな、と思っている人が(商品券の配布によって)接種するきっかけにはなると思っています」と狙いを説明。

   ただ、こうしたワクチン特典には「色々な見方、意見がある」と担当者は把握している。「ご意見は真摯に受け止めて、少しでも早く接種を進めたいという気持ちでいます」と続けた。宮代町では、2021年6月11日現在で高齢者の約84%がワクチンの接種予約済みだと話し、ペース自体は順調だとした。

   大阪府羽曳野市商工会では、地域経済活性化のために接種済みの人に向けて商品券「Thanks.グッジョブ・チケット」2000円分を配布。市内の登録店舗で使用可能だ。商工会によると、今の時点で実施している理由として「事業として短期集中的にやる」考えがあるからだという。全員の接種が終わるのを待っているのでは遅いというわけだ。

   商品券は受け取り期間を2022年1月末までと長めに設定。接種する順番にかかわらず、必ずもらえる。