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若者のコロナ感染、授業はオンラインでも 大学はサークル活動まで縛れない

   若年層を中心に新型コロナウイルスがまん延している。厚生労働省の2021年8月25日付のデータによると、年代別の国内累計陽性者数は20代が33万1279人で最多。30代が21万3886人で、これに続く。

   感染防止のため、多くの大学ではオンライン方式の講義を取り入れている。キャンパス内への学生の立ち入りを禁止するケースもある。ただ、学生の自主的なサークル活動まで大学が管理するのは難しいだろう。実際、サークル内で複数部員が感染した例は複数ある。

  • 学外では感染対策が難しい?(写真はイメージ)
    学外では感染対策が難しい?(写真はイメージ)
  • 学外では感染対策が難しい?(写真はイメージ)

集団での飲食が一因か

   明治学院大学は2021年4月16日、課外活動団体のストリートダンスサークルに所属する部員14人が新型コロナウイルスに感染したと発表。公演後、部員の一部が屋外で飲食を伴う会合を行っていたという。その後、4月28日時点で合計52人の陽性者が発生したと明らかにした。

   また、東海大学は6月29日、湘南キャンパス(神奈川県平塚市)非公認テニスサークル所属の学生7人が新型コロナウイルス感染症に感染したと発表。筑波大学も7月16日、大学のサークル内で複数人の感染が確認されたと発表している。「サークル本来の活動というよりは、集団での飲食等によるもの」と考えているという。

   愛媛県の中村時広知事は8月29日の会見で、同日までに松山大学で、同じスポーツ団体に所属する学生計6人の陽性を確認したと発表した。スポーツのほか食事を共にする機会もあり、共に長い時間を過ごす中で感染が広がったものと考えられる。

   これらのうち、事前に学生側に注意喚起していた大学はある。明治学院大は3月24日、課外活動は大学から承認を受けた団体のみを実施できるとし、不要不急の外出や会食を「厳に慎む」よう公式サイトで学生に呼びかけた。東海大は4月1日に課外活動などの自粛を公式サイトで要請。6月30日には許可を得た団体から段階的に活動制限を緩和していくとした。

   また松山大学は21年8月23日以降、原則すべての課外活動を禁止している。

   大学が活動自粛や、感染防止を呼びかけても、サークル内で感染が起きるケースはあるようだ。

厳しい処分あっても「我慢の限界」

   J-CASTトレンドは、東京都の大学に通う20代の男子学生AさんとBさんに取材した。2人は同じイベントサークルに所属している。Aさんによると、現状の講義は9割近くがオンライン方式で、対面授業は少人数で行われるゼミナールなど一部に限られる。

   サークル活動は、スポーツやダンスパフォーマンスなどの練習を除いて基本的に認められず、飲み会・懇親会は禁止されている。悪質な違反行為には学生への処分が下されることもある。Bさんによると、大人数での飲み会を開いたスポーツ系サークル責任者の取得単位がはく奪されたケースもあったとのことだ。

   ただ、Aさんは「ルールを守っている学生は3割ぐらい」と明かす。周りを見る限り、大学側の要請を無視して飲み会や会合を行っている学生の方が多いと感じる。Bさんはテニスサークルにも所属しており、そこでは大学から離れた場所を選んで練習後の飲み会を開いていると話した。知り合いでは感染した学生が数人おり、「ほとんどサークル活動(での感染)だと思います」。

   厳しい処分が下されることもある中、なぜ要請を無視する人が多いか聞くと、「もう我慢の限界だからではないでしょうか」とAさん。学生たちは2020年度も、ほぼ1年間サークル活動の自粛を求められていた。