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韓国の新型コロナ「過去最高」ペース 規制緩和、ブレークスルーに寒さ

   世界各国で新型コロナウイルスのリバウンドが伝えられている。アジアでは韓国がとくに深刻だ。新規感染者数が「過去最高」を更新している。ハイテクを駆使するなど韓国独自の「K防疫」を自賛していたはずなのに、なぜコロナが再拡大しているのか。日本のメディアでも盛んに取り上げられている。

  • 「ブースター接種」を早めるもよう
    「ブースター接種」を早めるもよう
  • 「ブースター接種」を早めるもよう

ほぼ100%がデルタ株

   韓国の2021年の新規感染者数は、6月末までは1日数百人程度で推移していた。しかし、7月になって1000人を超え、9月末には2000を突破。一時は3000人台に。10月にいったん1000人台に下がったが、11月になって急増。3000人前後の日が増えて、「過去最高」が報じられるようになっている。

   韓国の人口は約5200万人。日本の半分以下だ。したがって、8月にⅠ日当たり2万5000人を超えたこともあった日本のピーク時に比べると、まだ少ないが、隣国の再拡大だけに日本にとって大いに気になる。最新状況を伝える報道も目立っている。

「"K防疫"を自慢したはずの韓国でコロナ感染爆発」(東京スポーツ、11月18日)
「"緩和"の韓国で過去最多感染・・・三つの要因を解説」(テレビ朝日、11月18日)
「新型コロナ新規感染3292人、過去最多 防疫措置緩和で急増――韓国」(時事通信。11月18日)

   韓国紙・東亜日報によると、韓国で現在流行中の新型コロナウイルスはほぼ100%がデルタ株。

半分は「ブレークスルー」

   韓国での再拡大について、各メディアが指摘している理由は大別して二つある。一つは緩和措置。「韓国は11月に入り『ウィズコロナ』にかじを切り、厳しく実施してきた防疫措置を緩和しているが、同時に感染者が急増している」(時事通信)。

   もう一つは「ブレークスルー」。すでに2回のワクチン接種を受けたにもかかわらず感染するケースだ。韓国メディアによると。新規感染者の約半数は未接種者、残りの半分は「ブレークスルー」だという。

   ワクチンは種類にもよるが、接種後約6か月でかなり効力が落ちるとされている。韓国のワクチン接種率は8割に近づいているが、早めに接種した人のワクチン効果が落ち始めている。WoW!Koreaによると、韓国の防疫当局は「60代以上の年齢層の場合、接種完了率は90%水準に達しているが、他の年齢層より先に接種をしたため接種効果が低下している」とみており、韓国当局は3回目のワクチンをうつ「ブースター接種」を早める方針だという。

北海道では再びクラスター

   21日の東京新聞によると、韓国首都圏の飲食店では10月まで18時以降3人以上の会食を禁止するなど厳格な措置を取ってきたが、中小経営者の不満や国民の疲労感が拡大。このため政府は「段階的な日常回復」を掲げ、11月1日から飲食店の営業規制を撤廃して会食の人数も10人まで可能とした。

   現行の措置を4週間続け、2週間の評価期間後、第2段階で大規模イベントの許可、第3段階で会食の人数制限撤廃へと進む予定だという。

   テレビ朝日のソウル支局長は「寒さ」も理由の一つに挙げている。今年は例年よりも2か月も早く初雪を観測。今月から規制緩和をしたが、タイミング悪く気温が下がり、換気が難しい室内で過ごす機会が増えた。

   21日の日本テレビ「バンキシャ」では、韓国の状況を報告しつつ、日本でも北海道では新規感染者が前の週を超えるようになり、老人ホームや医療施設などでクラスターが起きていることを紹介。その多くがブレークスルー感染とみられることから、いつ自分がワクチンを接種したか、しっかり把握しておく必要があると注意を呼び掛けていた。