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健康診断、がん検診の意識・実態調査 医師はコロナ禍の診療への影響懸念

   ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)メディカルカンパニーは、「健康診断・人間ドック、がん検診等、医療受診に関する意識・実態調査」を実施し、結果を2021年12月14日に発表した。「メディカルカンパニー」はJ&J内の事業部門で、医療機器などを扱っている。

   対象は全国の20~79歳の男女1万5000人と、がんの診断・治療を行う全国の医師300人。新型コロナウイルス禍が人々の受診行動に影響を与え、結果的に「病気の進行にまで影響を及ぼしている可能性」が示されたという。

  • がん検診の意向などを調査した
    がん検診の意向などを調査した
  • がん検診の意向などを調査した
  • がん研究会有明病院の病院長・佐野武氏

受診意向は昨年比で改善も

   調査対象者に過去の気持ちを振り返ってもらいつつ、「健康診断」・「がん検診」の受診の意向を時期別に聞いた。受診を控えたいとの回答が最も多かったのは4月~6月。「健康診断」だと、「控えたい」と「やや控えたい」で計34.4%、「がん検診」の同項目は計39.4%だった。

   1年前も4月〜6月に受診を控えたいとの回答が最も多かった。当時の「控えたい」と「やや控えたい」は、健康診断で計53.6%、がん検診だと計56.9%で、21年でそれぞれ改善がみられた

   21年度中の受診率も調査した。健康診断を年度内に「受診済み」「受診予定」とした割合は計61.2%。20年度では計57.7%だった。

   がん検診は胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頚がん・乳がんと、種類別に調査。受診率はいずれも昨年比でやや増加傾向だ。例えば「胃がん検診」の「受診済み」「受診予定」は20年に計32.1%だったが、21年度で計35.4%に増えた。

   ただ、がん検診について「受診予定はない」「わからない」と答えた人は、全種類で約6割存在する。これは20年度と21年度であまり変わっていない。例として「胃がん検診」だと20年度が計58.5%、21年度で56.9%だった。

がんは早期発見で治療の選択肢広がる

   がん診断・治療を行っている医師300人に、新型コロナ感染拡大による「がんの早期発見・がん治療への影響」を質問。91.3%の医師が「影響していると思う」あるいは「やや影響していると思う」と回答した。

   懸念している影響の内容として、85.0%が「コロナ感染拡大への不安を理由に健康診断や人間ドック、がん検診などが控えられること」、66.4%が「がんが進行した段階で病院に来る患者が増えること」を挙げた。

   がん研究会有明病院(東京都江東区)の病院長・佐野武氏は調査資料の中で、コロナ禍を背景とした受診控えにより、早期がんの発見が遅れてしまうことへの危惧を示した。がんは早期発見できれば、治療の選択肢も広がるという。「これまで検診を受けていたのに現在控えているという方は、『コロナの感染拡大がなければ、自分はどんな行動をとっていたか』を考えてください」と呼びかけている。