2024年 4月 19日 (金)

揺らいでも根は動かず 「海草のような人」になれるか

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   小学生ぐらいの頃には、よく水族館に連れて行ってもらったものだ。小さなきらきら輝く魚から、狭い水槽を我が物顔で泳ぎ回る大きな海獣まで、そこには様々な動物達がいて、どの動物も死とは縁遠いかのように元気に泳ぎ回っていた。

   今回の『プロフェッショナル 仕事の流儀』は、海獣医・勝俣悦子(敬称略)の話。海獣医というのは、イルカやセイウチなど水の中に住む大型の動物を専門とする医者のことだ。

最愛のセイウチ、体を投げ出し死んでいた

   人は、好奇心を満たすことや癒されることを求めて水族館に足を運ぶ。私も小さい頃は、本来は遠い海を悠然と泳いでいるだろうクジラを目の前にして、自ずと興奮せずにはいられなかった。しかし、普段われわれが意識して見ることはない水族館の裏側では、生命に関する様々なドラマが日々起きているのだ。今回の『プロフェッショナル』を見ていて、改めてそれを感じた。そんな海の動物達の生死に誰よりも深く関わっているのが海獣医である勝俣だ。

   彼女の仕事ぶりで印象に残ったことがある。それは彼女が以前世話をしていたセイウチ「ムック」が死んだときの話。勝俣は、日本では前例がない手術をムックに施したことがある。そのこともあって、ムックには特に大きな愛情を注いでいた。ところがそのムックがある日、飼育室のドアをこじ開け、廊下に巨体を半分ほど投げ出したままで死んでいた。動かないムックの体の上には、その子供「ロック」がいた。母が死んでいるとは気づかず、いつものようにムックの背中に乗ってじゃれていたのだ。

   そのときの話を言葉を詰まらせながら話す勝俣を見て、"現場"の空気感が伝わってきた。悲しいシーンである。無邪気に母に遊びをせがんでいるロックのことを思うと、いたたまれなくなる。

文   慶応大学1年・がくちゃん
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