冗談じゃないよ!
大阪・八尾駅前で、祖母と歩いていた3歳の男児を、男が突然ひっさらって歩道橋に駆け上がり、6メートル下の道路に放り投げた。男児は足を骨折、頭を打つなどで重症。男は殺人未遂の現行犯で逮捕された。
「仕事でむしゃくしゃしてやった」といっているというので、「冗談じゃないよ!」とみのもんたが怒った。「トラックやバスがきてたら、はねられて即死だ」
男は知的障害者の授産施設に通っているが、これまでに幼児を傷つけたり誘拐したりで6回逮捕されており、2000年には2歳児をつれまわしたとして、未成年者誘拐で有罪となり服役している。
「これまでに幼児ばかりで6件も問題を起こし、服役までしている男が、普通に世の中を闊歩しているなんて、納得できない」とみのの怒りは続く。
しかし人権や授産施設の善意もからみ、話はそう単純ではない。弁護士の大沢孝征も「矯正ができていたのかどうか。総合的に考えないと」というのが精一杯だった。
「何が人権だよ。このやろ!」
政府の教育再生会議が、授業を妨害したり教師に暴力を振るう児童・生徒への懲戒を明確にするのだと。とかく「体罰だ」といわれるのを恐れて、対応に枠がはめられていたのを、“改善”しようというらしい。これに、“老人パワー”が炸裂した。
「立ってなさいといえないってのがおかしい。こどもが走り回って授業にならないのに先生は我慢しなければならになんて」(みのもんた)
「バケツ持たされて立ってろといわれたよ。暴力はいけないけど、まずいことはまずいといわなくちゃ」(嶌信彦)
「秩序乱してるんだから、教室から出してもいい。ただ、出した子供をみてないとね」(木元教子)
「甘くなり過ぎ。何が人権だよ。人権とはどういうもんなんだ、このやろ!」(みの)
若い人には、これらの意味すらわからないんじゃないかと、心配になった。
八尾の3歳児投げ落とし事件で、みのもんたの怒りの理由のひとつが、「過去に問題のある男が、名前も顔もさらさずに‥‥」というのがあった。この番組では、なぜか男の名前は出していなかった。
しかし、この日の朝刊各紙もNHKも全部実名入りだった(民放はわからない)。根拠はおそらく、男が過去に服役していること。つまり、責任能力ありとの判断だろう。だからといって、今回も裁判所がそう判断するかどうかはわからない。いきなり幼児を投げ落とすとは、あまりにも常軌を逸しているからだ。
報道機関はその都度、待ったなしで判断を迫られる。TBSの判断が正しいかもしれない。しかしこれは、みのが心配している“安全の問題”とはまったく別のことだ。
(注)ただしTBSはこの後のニュース番組では、男の氏名と顔を出すようになった。他の報道を参考にしたのか、判断が変わったようだ。