このドラマ「金のある悲劇」なのかしら?(ハゲタカ)

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   最初のシーンがまず衝撃的だった。公園でセミ捕りをして遊ぶ子供たちがプールで見つけたものは、水面に浮く無数の1万円札。それをカメラは水中から映す。

   札をすくおうと子供たちが突っ込む網が乱暴に揺れる。と、網のそばには男がうつぶせに浮かんでいる。腹を血に染めて、ゆらゆらと。

   衝撃を受けたのは、いきなり血染めの男が浮かんでいたからだけじゃない。子供たちが網いっぱいのお金を持って、お店に駆け込み、嬉々としてゲームソフトやおもちゃを山のように買い込んでいたからだ。

   だって、ふつう子供がそんな大金を見つけたら、まず大人に知らせるでしょ? あるいは警察に届けようとするでしょ? それが「わーい、トクした、トクした」と何のためらいもなく、欲しい物を買ってしまうなんて。もしかしたら本当にこういう子供たちが多いのかしら。そうだとすると、そんな子供たちが悲惨だなあ、かわいそうだなあ、と思った。

   そこにナレーション。「誰かが言った。人生の悲劇は2つしかない。1つは金のない悲劇、そしてもう1つは金のある悲劇。世の中は金だ。金が悲劇を生む…」

   すると、この男の場合、金のある悲劇なのかしら。

   回想シーンで1998年になると、この男が外資系ファンドの日本法人社長、鷲津政彦(大森南朋)であることがわかる。鷲津はニューヨーク本社から「日本を買いたたけ」との命令を受け、日本に乗り込んできたのだ。

   ニヒルな鷲津はかつて銀行員。貸し渋りに方針を変えた上の命令で、担当する零細企業の経営者を死に追いやった過去がある。その後、アメリカに渡り、「資本の論理」とやらを「徹底的に学んだ」らしい。

   毎回、ハゲタカの手先、鷲津の標的となる経営者が登場する。第1回の宇崎竜童はとても老舗旅館の主人には見えなかったな。第2回のおもちゃ会社社長、富士真奈美のキンキラぶりは、誇張されてるけど、こんな人、実際にいたような…。

   怖くなってしまう。私たちは、知らないところで、財務省の政策やら銀行やら外資やらに支配されてるのね。そして、何よりもお金にね。

   でも、カモノは思う。人生にはもっと別の悲劇もあるわよ。恋のある悲劇と恋のない悲劇とかね。ともあれ、久しぶりの骨太のドラマでした。

   ※ハゲタカ 土曜夜9時・NHK総合

文   カモノ・ハシ
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