たまには古代人の死生観に触れてみるのも面白い

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   先週、NHKの「知るを楽しむ 選」という番組で、宗教学者の中沢新一が折口信夫のことを語っていた。折口が書いた「死者の書」という小説をもとに、「日本人の宗教観」について折口がどう考えていたのかを話していたんだけれど、これがなかなか面白かった。

   「死者の書」というのは、奈良時代の死霊が出てくる話。昔はあの世にいる死霊とどう付き合っていくかがとても大事な問題だった。死霊とコミュニケーションをするためには、この世とあの世を結ぶ「通路」が必要なんだけど、仏教が日本に入ってくる前は“時間のバランスが悪い”夏至とか冬至とかにあの世との通路ができると考えられていたらしい。

   でも、奈良時代に広まった仏教はバランスのよい生活、中庸の生活こそ大切だと教えた。そこで、この世とあの世を結ぶ通路ができるのも、昼と夜の長さがほぼ同じでバランスが取れている春分や秋分になっていった……

   もともとは無意識のうちに死霊とつきあっていた日本人が、仏教と出会って別の形で死霊と向き合うようになった。折口信夫は、そういう日本人の宗教観の道筋を示したということなんだけど、中沢新一によると、その考え方はとても先駆的で、いまでもピンピンと新しいらしいね。

   現代人はなかなか自分自身を信頼できなくて、ましてや他人を信用できなくなっているけど、たまにはこういう古代の人の死生観に触れてみると、新鮮で面白いかもしれない。

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