「敷地の声を聞く」 制約の中にこそヒントがある

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    「負ける建築」と聞いて、それがどのようなものか想像できるだろうか。4月10日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』のゲストは、「負ける建築」を流儀として作品をつくり上げる建築家・隈研吾。

    番組の最初に紹介された彼の作品は、表参道のルイ・ヴィトングループの商業施設を初め、見覚えのある作品ばかりだ。

    現代建築と日本的表現の融合。その独創的な建物の数々を生み出すインスピレーションの源にあるのは「制約」なのだという。制約は創造の支障なのでは……私はそう思っていた。しかし、隈は言う。

   「この場所はどうして欲しがっているのか、敷地の声を聞くわけですね。それを建築に反映してやれるかが、僕らの技の見せ所でね」

   彼の言葉を聞いて納得した。いかに周りと調和した作品に仕上げるか。環境に「負ける」建築というわけだ。

    「制約の中にこそ、ヒントがあるということですね」との茂木健一郎の問いに、隈はこう返した。

   「そうそう。がんじがらめの中に実はいろんなヒントがあるんじゃないか、いい味にするためのヒントがあるんじゃないかなって思えるんですよ。土地だったり、実際に使う人だったり、色々な気持ち、不満を聞き、プロジェクトに生かす。そうやってプロジェクトの強さにしていきたいという気持ちがあるんですよ」

    建築家は、自分の頭の中にひらめいたアイデアを躊躇なく組み立てていくものだとばかり思っていた。だが、それでは自分のエゴを押し通すだけだ。個性ばかりが光る建物は、見る人にとっては異物としか映らない場合もある。

   優れた建築家というのは、周りの「制約」を受け入れ、それと調和したものを作れる人のことを言うのかもしれない。隈研吾が、一流の建築家と呼ばれる理由が理解できた。

   ※NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 「"負ける"ことから独創が生まれる~建築家・隈研吾」(2007年4月10日放送)

文   慶応大学・がくちゃん
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