「ブラックブック」
スリルとエロス、あっと驚くどんでん返し

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   ポール・バーホーベン監督はハリウッドで「氷の微笑」「ショーガール」などヒット作を飛ばし続けてきた。23年振りに故国オランダに戻り、第二次大戦中の史実に基づいた、強く美しく輝くユダヤ人女主人公のドラマを作り上げた。

Black

   ナチス制圧下での主人公を、監督は得意のスリルと冒険とエロスの視点で仕上げている。制作費は25億円。ハリウッドならトム・クルーズのギャラにもならない予算は、オランダでは史上最高の製作費だと言う。ブラックブックとはナチスへの協力者が記載された日記帳のこと。

   主役のエリスはオランダ映画祭で3度の最優秀主演女優賞を受賞したカリス・ファン・ハウテン。日本では馴染みがないが中々の美人。相手役のナチの将校ムンツェは、今年アカデミー外国語賞を受賞したドイツ映画「善き人のためのソナタ」のセバスチャン・コッホ。原案と共同脚本はオランダ時代の監督の協力者、ジェラルド・ソエトマン。撮影はドイツ人カール・ウォルター・リンデンローブと、オランダ・ドイツの共同製作体制。

   舞台は1944年のドイツ軍占領下のオランダ。美貌のユダヤ人歌手ラヘル(ファン・ハウテン)は、親しいオランダ人の家に匿われている。そこも危うくなり、連合軍が解放したオランダ南部へレジスタンスの手引きで逃げようとするが、これが罠。突如ドイツ軍が襲いかかり、両親や弟を含めたユダヤ人全員は虐殺され、身につけた財宝を奪われる。一人ラヘルだけは川に飛び込み逃れる。そしてレジスタンスに加わる。名前をエリスと変え、髪も黒から金髪にしてユダヤ人であることを隠す。スパイとしてナチ情報部トップの将校ムンツェ(コッホ)に、美貌と歌声を武器にして近づく。しかしムンツェは優しい。エリスをユダヤ人と見破っても知らぬ振りの人柄に魅かれた彼女は、ムンツェを愛するようになる。

   戦闘機の機銃掃射やナチスのユダヤ人虐殺など、ハリウッド並みの残酷アクションが続く。ヒロインの歌手に扮するファン・ハウテンの美しい肢体と歌声もたっぷり楽しめる。ユダヤ人の髪は黒い。金髪に染めてオランダ人と偽りナチ将校に近づく。仰天するのは、成りきるために仲間の前でも下の毛を金髪に染めるシーン。演じるファン・ハウテンの立派な女優魂!日本はヘアー解禁になっているものの、ベッドシーンが売り物の「愛の流刑地」でも失望され通しだ。

   ハリウッドのエッセンスをバーホーベン監督はオランダに移植した。だから俳優は馴染みが無くともハリウッド映画の感覚だ。戦時下に逞しく生きたユダヤの女性像が、史実に基づき迫力ある画面で再現されている。戦争終了後、裏切り者追及のどんでん返しにあっと驚く。

恵介
オススメ度: ★★★★☆
ブラックブック(ZWARTBOEK)
2006年オランダ・独・英・ベルギー映画・ハピネット配給・2時間24分・2007年3月24日より公開中
監督:ポール・バーホーベン
出演:カリス・ファン・ハウテン/セバスチャン・コッホ
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