「クィーン」
エリザベス女王に成りきりがすごいソックリ女優

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   今から10年前の97年8月31日。ダイアナ元英国皇太子妃がパリで事故死したニュースが、世界中を駆け巡った。この「クィーン」は、事故について沈黙していたエリザベス女王が声明を発表するまでの1週間の苦悩、王室の態度、ブレア首相の対応、チャールズ皇太子の行動などをドキュメンタリー風に描いている。

(C) 2006 GRANADA SCREEN (2005) LTD/PATHE RENN PRODUCTIONS SAS/BIM DISTRIBUZIONE.
(C) 2006 GRANADA SCREEN (2005) LTD/PATHE RENN PRODUCTIONS SAS/BIM DISTRIBUZIONE.

   クィーンを演じるのはヘレン・ミレン。見事にエリザベス女王に成りきり、アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得した。筆者は偶然ニューヨークで、やはりミレンが女王を演じたTVドラマを見たが、TVを通じて映画に、そして受賞に繋がったか。ブレア首相はマイケル・シーン。この人も別のドラマでブレアを演じていた。フィリップ殿下はジェイムズ・クロムウェル。チャールズ皇太子はアレックス・ジェニングス。監督は、「危険な関係」でハリウッドに進出した英国出身のスティーヴン・フリアーズ。脚本のピーター・モーガンはアカデミー脚本賞にノミネートされた。

   事故の2か月前の5月、トニー・ブレア(シーン)がイギリスの首相となり、エリザベス女王(ミレン)の認証を得るため宮殿を訪れる。しきたりに満ちた宮殿で、儀式は15分で終了する。8月30日、夜のパリ。元皇太子妃ダイアナと恋人のドディ・アルファイドが、ホテル・リッツの裏口から車に乗り込む。パパラッチたちが即座に追いかけ、二人の車は猛スピードでアルマ橋のトンネルに入り、世紀の大悲劇が起こる。集中治療室のダイアナの元へ向かうため、チャールズ皇太子(ジェニングス)は王室機の使用をエリザベス女王に願い出る。女王は、ダイアナは民間人であると認めない。国民は王室の態度に反発を覚える一方、ブレアの「国民のプリンセス」と言う発言が彼の人気を押し上げる。ブレアの進言で頑なだった女王も遂に声明を発表する。

   忘れられない事故の前後の王室の様子が、まるで見てきたように細々と描き出される。首相認証式の場面も面白く、式に向かうブレアに夫人が投げかけるクールな発言や形式ばった式の様子など、興味深いシーンが続々出て来る。映画が一番言いたい事は、女王は沈黙を守りたかったが、バッキンガム宮殿外周に国民が捧げた花やカードを見て廻り、声明をTVカメラに向かって発表せざるを得なかったと言うこと。女王も一人の人間。ヒトには言えない様々な苦悩を抱えている様子が描かれる。調子に乗ったブレア首相へ、女王の臣下に過ぎないのだと思い知らせる発言にも驚く。

   ヘレン・ミレンはエリザベス女王にそっくり。クロムウェルのフィリップ殿下もシーンのブレアもそっくりで素晴らしいキャスティング。チャールズが似ていないのは意図的な配役だろうか。ともかく彼は仇役だから。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
クィーン(THE QUEEN)
2006年英仏伊合作映画・エイベックス・エンタテインメント配給・1時間44 分・2007年4月14日シャンテシネにて公開、4月21日より全国拡大公開
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ヘレン・ミレン/マイケル・シーン/ジェイムズ・クロムウェル
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