「アメリカンパスタイム 俺たちの星条旗」
戦時下の日系アメリカ人、中村雅俊が好演

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   タイトルのPASTIMEは「気晴らし」「娯楽」の意味だが、AMERICAN PASTIMEとなると「野球」のことを指す。アメリカ人の娯楽=野球なのですね。つまり国技と言う訳だ。

©2007 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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   1941年12月7日(米国時間)の日本の真珠湾攻撃のせいで、12万人を超える日系アメリカ市民は土地家屋財産を没収の上、隣近所から罵詈雑言を浴びせられ、強制キャンプに収容される。この映画は、そんな時代を背景にしたキャンプでの野村家の二人の息子の物語。家族への愛、祖国への愛、ジャズ、そしてアメリカンパスタイムの野球を通じて強く生き抜く姿を描く。

   ユタ州アブラハムのキャンプに収容された野村家は、父カズ(中村雅俊)、母エミ(ジュディ・オング)の両親に、レーン(レオナルド・ナム)とライル(アーロン・ヨー)の二人の息子。レーンはキャンプを出るために、志願して日系人だけの442部隊に入隊。イタリア戦線で活躍し中尉に昇進するが、不具の体になり帰還。ライルは音楽と白人の恋人ケイティ(サラ・ドリュー)がいてそこそこ幸せだった。ケイティの父親ビリー(ゲイリー・コール)はメジャーリーグ入りを狙う野球選手で、繋ぎで看守をしている(かなり無理な設定だ)。ライルはそのビリーにケイティとの仲を裂かれ、ならばと野球に打ち込み、ビリーたちアメリカ人チームに挑む。

   中村雅俊の父親は好演だが、ジュディ・オングの母親が頂けない。なんで台湾人を出すのかね(英語のアクセントも台湾的)。日本の女優に演じて欲しいな。収容所なのに目張りパッチリの狸みたいな化粧で気持ち悪い。昨年亡くなったので最後の出演となった「空手キッド」のパット森田が皮肉屋の老人役でうまい!日系のD・ナカノの監督、脚本は悪くないし、ハンカチが必要なくらい涙がこぼれる。

   日系の442部隊の合言葉は「Go for broke!」(当たって砕けろ!)。欧州戦線でドイツ軍相手に、他の部隊より多く戦死者を出しながら果敢に戦い「日系人」の名前を高めた。クライマックスの野球の声援で、この442部隊の合言葉を日系人たちが連呼する。

   真珠湾後なので白人たちは二言目にはジャップ、ジャップの連呼で気分は良くない。次のバッターは「高橋」と球場の場内アナウンサーは発音したつもりだが「TAKE A SHI-T(糞をする)」と言っている。アメリカ人なら笑えるが、このジョークは字幕では伝わらないし、分かっても笑えない。

   この作品はユナイテッドシネマ豊洲という東京・江東区にあるちっぽけな小屋で2週間しか上映しない。直ぐにDVDで発売されるためだ。DVDは本編が終わって3か月で発売されるのが通常だが、本編が公開されずに「日本未公開」の作品が多くある。これは売れない。劇場で公開されないくらいだからつまんないだろうと皆が思うからだ。

   だからこの映画のように小さな小屋で短期間上映するだけで、「劇場公開済み」というお墨付を取るための「おざなり上映」がされることがある。映画は大きな画面で見てこそ、その価値が分かる。この映画もDVDのモニター画面では無く、スクリーンの大きな画面をサラウンディングな大音響の中で見て欲しい。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
アメリカンパスタイム 俺たちの星条旗(AMERICN PASTIME)
2006年アメリカ映画・ワーナー・ブラザース配給・1時間47分・2007年5月12日公開
監督・脚本:デズモンド・ナカノ
出演:中村雅俊/ゲイリー・コール/レオナルド・ナム/アーロン・ヨー
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