「マリー・アントワネット」
ソフィア・コッポラが描くポップなフランス王朝絵巻

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   前作「ロスト・イン・トランスレーション」でアカデミー脚本賞を受賞したソフィア・コッポラ。ソフィアはフランシス・F・コッポラ監督の娘で、父親の作品の女優や脚本や衣装デザインなどを担当した後、監督業で才能が開花した。本作では監督、脚本、プロデューサーの三役を務め、父フランシスは製作総指揮。これからはコッポラ監督と言えば、ソフィア・コッポラ監督の時代。「ゴッドファーザー」も遠くになった。原作はイギリスのアントニア・フレイザーの「マリー・アントワネット」。池田理代子の「ベルバラ」で火が点き、宝塚や東宝の舞台で大ヒットの日本でならば行けると、日本からこの映画に投資をしている。

(c)2005 I Want Candy LLC.
(c)2005 I Want Candy LLC.

   マリー・アントワネットに扮するのは四角い顔で不美人のキルスティン・ダンスト。古典的な美女を使わないことで今様なポップな作品になった。夫のルイ16世にはタリア・シャイアの息子のジェイソン・シュワルツマン。ソフィア監督の従兄弟だ。マリーの母のマリア・テレジアは「あの胸にもういちど」のマリアンヌ・フェイスフルが演じる。ルイ15世にはリップ・トーン。脇を固めるのはアーシア・アルジェント、スティーヴ・クーガン、ジェイミー・ドーナンなど。華麗な衣装デザインはイタリアのミレーネ・カノネロ。「炎のランナー」「バリー・リンドン」でアカデミー衣装デザイン賞を2度受賞し、5作品でノミネートされた実績を持つ。

   オーストリア皇女アントワーヌ(ダンスト)は14歳で、母のマリア・テレジア(フェイスフル)の命でフランス国王ルイ15世(トーン)の孫、ルイ・オーギュスト(シュワルツマン)に嫁ぐ。着替えも初夜も大勢に監視される生活や、国王の愛人の元娼婦、デュ・バリー夫人(アルジェント)の存在に驚くが、辛いのは夫が自分に触れないこと。ファッション、菓子、ギャンブルやパーティにのめり込んで行く。また仮面舞踏会で出会ったスウェーデン陸軍のフェルゼン伯爵にときめき、愛を知る。ルイ15世の崩御で夫のルイがルイ16世となり、王妃となったマリーの生活は益々贅沢になるが、兄のアドバイスでマリーとルイに子供が授かる。

   決まり事だらけの王室で、マリー・アントワネットは大勢の女性の前で裸で着替えの用意を待たなければならないとか、人々に監視されるような新婚初夜だとかのガラス張りの生活。有名な台詞「パンが買えないならケーキを食べればいい」は捏造された発言という視点でマリーを普通の感性の持ち主として描く。控えめな少女だったマリーがファッションやケーキにエスカレートして行く姿はポップで美しく、また哀切を感じる。宮殿に押しかけた群集に毅然とお辞儀をする姿が印象的。夫と共に宮殿に残る決意のラストが美しい。

恵介
オススメ度: ★★★☆☆
マリー・アントワネット(MARIE ANTOINETTE)
2006年アメリカ・フランス・日本合作映画、東宝東和・東北新社配給、2時間03分
2007年7月19日DVD発売(3,990円・税込)、発売・販売元:㈱東北新社
監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト / ジェイソン・シュワルツマン
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