2020年 6月 4日 (木)

日曜コラム:「テレビ局だのみ」映画会社の今そこにある危機

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   先週は邦画各社がそれぞれ好成績の決算を発表したことを伝えた。中でも東宝は純利255億円、前年比+7%と絶好調だ。皆さんは東宝が映画を製作して利益を稼ぎ出していると思うでしょう。違うんだな、これが。全部TV局製作映画の配給で儲かっているのだ。

「不動産会社」になってしまった東宝

   東宝はいつからか映画を作ることを止めてしまった。映画不振の60年代から自社の映画スタッフを始め、俳優たちとの契約を打ち切り、映画は外部の製作会社に作らせてその配給に専念する。配給といっても、その頃はどんな映画もTVに押されて儲からない。そこで昔からあった映画館をドンドン潰して高層ビルを建てて賃貸した。土地ブームとバブルで生き延びるどころか好景気の余波で大もうけをした。砧の撮影所は切り売りして見る影も無い。東宝は映画会社ではなく不動産屋なのだ。

   しかし東宝は未だ撮影所というものを持っているから良い。アメリカから弁護士を辞めて呼び戻され、映画は知らないが経営を知っている社長を戴く松竹はあの大船撮影所を全部売り払った。広大な跡地は今やスーパーにデパート、それに女子大のキャンパスだ。大船は遠すぎる。近くの木場に新しくて素晴らしい撮影所を作ってやる、と社長は労組に約束してかなりの年月が経つが、何も起こっていない。

   愚直なまでに映画作りにこだわったのは東映。だから一番経営が苦しいのかも。京都東映の太秦撮影所はちゃんとその姿を留めているし、客引きのちゃんばらの見世物をオープンセットでやっている。

恵介