「オールド・ボーイ」
ヴァージニア工科大乱射事件の犯人も見た?

印刷

   「オールド・ボーイ」の米国向け公式サイトに掲載された次の写真を見て欲しい。このハンマーを振り上げたポーズは最近マスコミで多く見かけた筈だ。しかしハンマーを持つのはもっと若くて狂気の目が釣りあがった男で、両手で振り上げている。人を襲うのにハンマーは異色だが、映画の中では手持ちの武器はこれしか無かった。

オールド・ボーイの公式サイト(米国版)に掲載されたスチール写真。AP通信やニューヨークタイムズでも紹介された
オールド・ボーイの公式サイト(米国版)に掲載されたスチール写真。AP通信やニューヨークタイムズでも紹介された

   ヴァージニア工科大学の23歳の韓国人学生・チョ・スンヒがNBCに送りつけた「ハンマーのポーズ」は写真だけで、実際は両手に拳銃を握り、32名の男女を撃ち殺した。4月16日のことだ。

   韓国映画「オールド・ボーイ」を見た人は、彼がこの作品で復讐を、ランページを思いついたことを推察するだろう。映画はパク・チャヌク監督が脚本も書いている。妻と娘の3人家族で幸せに暮らしている主人公オ・デスは突然拉致され、15年間もアパートの一室に監禁拘留される。毎日同じ出前の中華料理を食べる。10年間は囚われの身の不幸を嘆き暮すが、11年目から体を鍛え体力を付け、解放されたときの復讐を誓う。何故、誰が、何のために自分をこんな目に合わせたか? 映画は復讐と暴力を賛美し、暴力こそ生きるために人間に必要なものと説いている。

   ヴァージニア事件のチョ・スンヒは、8歳の時にアメリカにやってきて15年間(オ・デスの15年間の拘留と合致する)、周囲の人たちからの嘲笑とさげすみの中で暮らしてきたと報じられている。チョ・スンヒはオ・デスと一体となり、オ・デスの方法で周囲に復讐をしたのだろうか。

   解放されたオ・デス(チェ・ミンシク)は寿司屋へ行き、若い女ミド(カン・ヘジョン)の給仕を受ける。生きたものが食べたいと蛸を出され、頭や足が動いている蛸を丸ごと食べるシーンの可笑しさとおぞましさ。人を襲うハンマーは殴るだけでなく、反対側のくぎ抜きを使って歯を一本一本抜く拷問も凄まじい。そのうち監禁犯は意外な人物であることが判明するが、何故なんだ?の追究がゲームとして展開される。

   この作品は2004年カンヌ映画祭でタランティーノ審査委員長の絶賛を浴び、グランプリに輝いた韓国映画。日本では04年の正月に限定公開されたが評判にもならず、カンヌでの受賞後の秋の凱旋興行で、シネマスクエアや有楽町スバル座を中心に全国公開された。

   筆者は04年8月によみうりホールで試写を見て素晴らしい出来栄えに感激し、皆に触れ回わったことを覚えている。友人たちの多くはコミックファン。原作は土屋ガロンと峰岸信明の作品で「漫画アクション」に連載され単行本になっている、と教えてくれた。早速購読したが漫画も暴力的でエキサイティング。どうして日本の映画人はこんな珠玉の作品を見逃し、くだらない映画ばかり作るのか、ハリウッドがリメイク権を買い取った話を聞き慨嘆した。

   そしてこの事件。興味があったらDVDを4000円程度で購入できる。役所広司に似た「シュリ」のチェ・ミンシク演じるオ・デス。監禁に耐え、悩み、怒り狂い、復讐鬼となる姿にチョ・スンヒを見出すだろう。

恵介
オススメ度: ★★★★☆
2003年韓国映画・東芝エンタテインメント配給・2時間00分・DVD発売中(ジェネオンエンタテインメント)
監督・脚本:パク・チャヌク
出演:チェ・ミンシク / ユ・ジテ / カン・ヘジョン
  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

お知らせ

注目情報PR
追悼
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中