「ヘビ人間のオジサンを探せ!」と言われましても・・・

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   今回は、番組が放送されるまでの、ひとコマを。

   「あのさぁ、ヘビ人間のオジサン、番組出したいよね」

   ある会議で、某大御所放送作家の先生が発した一言に、スタッフは凍りついた。「ヘビ人間って誰よ?」「何がヘビなわけ?」と、ちんぷんかんぷん。

   熟年夫婦なら、「おい、あれ」と言えばお茶が出てきても、さすがにヘビ人間は、サラっと出てきてくれない。「レッドスネーク、カモ~ン」じゃないわけで・・・

   この業界、“ふわっとした”情報を頼りに、番組を進めていくことが多い。おじいちゃん、おばあちゃんのあやふやな記憶を頼りに、初恋の人や思い出の場所を探し当てていくような作業に似ている。よく言えば夢を実現するのが、放送業界の仕事。

   大御所作家先生は、例のヘビ人間のオジサンを投稿動画で見たらしい。調べてみると、ザクザクとあがってきた。んで、このヘビ人間のオジサンってのがスゴイっ!イメージ通りに、ターバンをまいてヒゲをたっぷりと蓄えているのだが、目をカァーっと見開いて、口から生きたヘビを何匹もドゥバドゥバと出してくる。要は人間ポンプのヘビオジサンなのだ。

   映像はわかった。次は、どこの国の、なんて人かをチェックだ! ところが、この投稿動画がクセもの。誰がどこの映像をサイトにアップしたのか、全く足取りがわからない。投稿者にメールで連絡をとっても、返事が返ってくる可能性は0%に近い。なぜなら、無許可で勝手にオモシロ映像をアップさせているのが主流だからね。

   ここからがさぁ大変。ありとあらゆる過去映像から、ヘビ人間のオジサンの元を辿っていく。放映された国のテレビ局や制作会社がわかればこっちのもの。星は近い。気分はさながら、事件解決を目前にした刑事だ。と、ここまでに膨大な時間がかかるが、放送は時間を売る商売。いかに早く対応できるかが腕の見せ所だ。

   ところが、である。映像の権利者の多くは、法外な映像使用権料をふっかけてくる。とあるカナダの制作会社は1分の放送につき、なんと40万円もの値段を請求してきた。念のため、買取ではなく、あくまでも放映権だ。残念ながら、1分の映像に40万円もかけられる番組は、このご時世なかなかナイ。結局その映像は取り扱うこと自体NGとなり、オジャン。

   さて、ヘビ人間のオジサンの運命は、いかに・・・

   「ゴールデンには、やっぱりちょっと気持ち悪すぎますよね」

   次の会議で、映像を見たプロデューサーの一言に、またまた凍りついたスタッフ。「ヘビ人間のオジサンはテレビ向きでない」との理由で、なんともあっけなく却下されてしまったのだ。あれだけ調べたのに、スタッフの苦労は水の泡となって消えていった。

   そんなことは露知らず、ヘビ人間のオジサンは、今日も地球のどこかで口からヘビを吐き出し続けているに違いない。

踊るオサムン
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