2024年 4月 25日 (木)

「しゃべれども しゃべれども」
うだつの上がらない落語家の青春、国分太一が熱演

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   落語家は東京に450人、関西に150人いる。東京の寄席はたったの4軒。だから仕事にあぶれる落語家だらけ。しゃべりを商売としている落語の世界で「しゃべれども」言葉や意思は相手に通じない。話題作「バベル」にも共通のテーマが描かれている。

(C)2007『しゃべれども しゃべれども』製作委員会
(C)2007『しゃべれども しゃべれども』製作委員会

   うまくしゃべれない、うだつの上がらない二つ目の主人公・今昔亭三つ葉がひょんなことから「話し方教室」を開いてしまい、奇妙な3人の生徒を教えるはめになる。彼らを通じて自分も成長して行く過程を描く。お笑いブームの中で漫才の芸人たちはTVでも引っ張りだこだが、落語、それも古典落語を目指す主人公は、風当たりの強い社会を生き抜かなければならない。取り上げられる古典落語は、誰でも知っている「饅頭こわい」と余り知られていない「火焔太鼓」で、出演者達が上手く下手にしゃべりまくる。

   主人公三つ葉はTOKIOの国分太一。映画の単独主演が初めてにしては大役をこなしている。無口な生徒・十河を演じる香里奈は、デビュー作「深呼吸の必要」で注目された。他に子役の森永悠希、廻らぬ口で落語が面白い。「リング」などの松重豊は元野球選手で解説者の役、口下手で教室に通い喋りを学ぶ。80歳近い八千草薫が祖母役で、家事の合間に落語を呟く。「アタシの方が上手い」と台詞で言っているように、これがなかなか上手い!三つ葉の師匠は伊東四朗。出演者の中でただ一人お笑いの世界の出身にしては、たっぷり聞かせられる落語はそれほどでもないのに驚く。三つ葉が憧れていた郁子に「バッシング」の占部房子。監督は平山秀幸、「愛を乞うひと」や「OUT」などで辣腕を振るう実力派。原作は児童文学の佐藤多佳子が初めて大人向けに書いた小説。平山監督と「学校の怪談」シリーズなどを手掛けた奥寺佐度子が脚本に仕上げている。

   今昔亭三つ葉(国分)は二つ目の落語家。古典落語だけを目指し普段も和服姿。時代遅れと仲間から言われ、真打は遥か遠い。古典も師匠小三文(伊東)の真似ばかり。師匠のお供で出かけたカルチャースクールで無礼な美女・十河(香里奈)に出会い、自分の噺を聞きに来いと言う。三つ葉の祖母(八千草)は茶道の先生。その弟子の郁子(占部)に三つ葉は惚れている。大阪から転校して来て東京の言葉に馴れない郁子の甥・優(森永)に話し方を教えてやってくれと頼まれれば嫌とは言えない。十河は本当に寄席にやって来る。美女の出現にどぎまぎしながら終わった三つ葉に喋り方を教えてくれと十河。

   これに野球解説がまるで下手な湯河原(松重)が加わり「喋り方教室」が始まる。「饅頭こわい」を演じてみせても全く興味も示さない生徒たちには笑える。優をいつも苛める「嫌いな奴を笑わす」のが勝負だと三つ葉は諭し、「饅頭―」を喋る優の関西弁落語は結構聞かせる。隅田川の遊覧船で十河へ「言わなきゃ一生後悔する」愛の告白も盛り上がる。国分の落語もまあ及第点か。落語の「饅頭―」も「火焔太鼓」もそれほど面白くないネタだが、映画自体は結構楽しませてくれる。

恵介
★★★☆☆
しゃべれども しゃべれども
2007年日本映画・アスミック・エース配給・1時間49分・2007年5月26日公開、
監督:平山秀幸
出演:国分太一 / 香里奈 / 伊東四朗
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